幼児期は、人生の中では最も成長する貴重な時期で、遊びを通じて多くの能力を身につけます。
この時期、子どもたちは遊び中心の生活を送りながら、好奇心や協調性、自己主張、自己抑制、持続力などの非認知的スキルを磨きます。
これらは、将来的に様々な局面で彼らを支える「学びに向かう力」となります。

そんななかでピアノを習うことは、子どもにとってどんな意味をもつのでしょうか。
幼児の成長段階と照らし合わせながら、ピアノを習うことについてご説明します。

ピアノの練習やレッスンは、幼児の成長段階で身につけておきたいことの多くの要素を持っています。

まず、ピアノの演奏は、子どもたちの感性や表現力を伸ばします。
外の世界に気づき初めて、興味を持つ幼児の時期に音楽に触れると、感受性が豊かになり、感情を豊かに表現する力を育てられます。
また、実はよく知られていないこととして、音楽は言語や数学的な思考とも深く関係しています。
小学校に入学して本格的に勉強を始める前に、基礎学力を養う要素を持っているのです。

「自分で自分のことをやる」自己管理能力は、小さいうちから生活のなかで当たり前にしておくことが大切です。
ピアノを練習することは、そんな計画性や、集中力など、今後身につけておきたいスキルを得られます。
例えばピアノの練習では、一つ一つの音を丁寧に奏でて、複雑な曲を演奏できるよう努力します。
そんな努力の過程は、子どもたちが「やり遂げる力」や「集中力」を身につける絶好の機会となるのです。

さらに、親以外の人と少しずつ関わっていって、人との関わり方を覚えるのも就学前に身につけておきたい力のひとつ。
これはピアノの発表会が役立つでしょう。他の仲間たちと協力して演奏をすることや、大きなステージの上で多くの人の前で演奏する経験は、子どもたちが自信を持ち、他の人と関わる力を育てます。

このように、幼児期にピアノを習うことは、子どもが元気に賢く育っていくために、様々な点で活かせるのです。

教室で習うこと

ピアノ教室はグループレッスンと個人レッスンがあり、ピアノを習うのは、指がしっかりしてくる3、4歳ごろからがおすすめです。
幼いうちから音楽に触れたり、ピアノに限らず情操教育をさせたい、という場合には、リトミックを教えるピアノ教室に通いましょう。

リトミックでは、リズム感や体の使い方、音楽の基礎知識などを学びます。
例えば音楽のリズムに合わせて動いたり、跳ぶ・走る・回るなどの基本的な動作をします。
またタンバリンやカスタネットなどの簡単な楽器やリズム、メロディに親しみながら触れることで、音楽の知識を自然に身につけられます。
教室では他にも、音楽に合わせて即興の動きをとって、自分の感情や想いを表現する方法を見つけられます。
全身を使って音楽の楽しさを知ることになり、感性の豊かさにつながります。

他の子どもたちや、教室によってはお母さんも参加するため、協調性やコミュニケーション能力も得られますよ。

ピアノの鍵盤を抑えられるようになる4歳ごろからピアノ教室に通う場合、まずは簡単な童謡から練習します。

五線譜の読み方や、音の強弱のつけ方など、楽譜に記されている音楽を自分で奏でることを目標にして練習するのです。
幼児のうちは、手が小さくて指が届かなかったり、指の力が弱かったりします。
そこで、まずは人差し指1本から弾ける曲から始めて、少しずつ使う指が多い曲を練習します。
じっと座っていたり、両手で違う動きができるようになったりするためには、一定の年齢まで成長することが必要なのです。

グループレッスンと個別レッスンでは、先生1人に対して教わる生徒の数と、授業の内容に違いがあります。
グループレッスンは複数の子どもたちに対して1人の先生が教えて、アンサンブルや連弾をします。
友達を作りやすく、比較的わきあいあいとした雰囲気の中で楽しくレッスンに参加できます。
一方で、先生がひとりひとりに目をかける時間は短くなるため、内向的やシャイな子どもは先生に質問しにくいかもしれません。
個別レッスンの場合は、先生と子どものマンツーマンでレッスンを行います。
子どもが毎回しっかり練習していかないと円滑なレッスンが行えない分、上達も早いです。
グループレッスンと比較して、個別レッスンは月謝が高い傾向があります。
子どもの性格や目的にあったレッスンを選びましょう。

メリット

幼児期に音楽に触れることは、認知能力や感性を育む上で非常に重要です。
音楽は子供たちの創造性や表現力を豊かにする一方で、リズム感や集中力を高める効果もあります。
ピアノ演奏は指の運動や脳の発達を促進し、練習を通じて忍耐力や努力を身につけるきっかけとなるでしょう。
また、ピアノ演奏は単なる趣味だけでなく、将来的に音楽の道を選ぶ可能性も広がります。

幼児のうちから音楽を始めるのは、感性や認知能力を育む上でとても重要です。
その中でも、ピアノを習うメリットをご紹介します。

脳の発達の良い影響を与える

脳が発達するのは0〜6歳ごろまでといわれています。
そして、ピアノを弾くことは脳の発育への効果が抜群なのです。
例えば左右の手をばらばらに動かす、暗譜する、先読みしながら弾くなど、ピアノの演奏をすることで、脳が活発に動きます。
また、指先を器用に使うことで知性や知能を伸ばす効果も期待できますよ。

生活習慣を作ることができる

ピアノが上手くなるためには練習量が必要なため、練習することが毎日のルーティーンになります。
小さいころに何かひとつでも習慣化していると、他の生活習慣も身につけやすくなります。

音感やリズム感を身につけられる

幼いころからピアノを始めることで、音感やリズム感を育てることができます。
絶対音感を鍛えたいなら、6歳ごろまでには始めましょう。
とくにピアノは楽器のなかでも出せる音の領域が広いため、他の楽器や音楽にも共通して役立つ能力を身につけられます。

人前に立つことに慣れる

多くのピアノ教室は年に一度発表会を開催します。
大勢の前で演奏する機会が生まれることで、子どもは人前に立っても緊張せず堂々と振る舞えるようになります。

将来的に音楽の道を選ぶ可能性ができる

プロのピアニストを目指すには、練習は早いうちから始める必要があります。
とくに人間の聴力は幼児のうちが発達するピークなので、もし「一流のピアニストにさせたい……」という願いが少しでもあるなら、幼児のうちから習い始めましょう。
3、4歳ごろから始めるのがおすすめです。

極めていった後の姿

一生懸命ピアノを習うとどんな夢が叶うのでしょうか？
極めた後の姿をご紹介します。

ピアノを習って極めたいと思う人の多くは、プロのピアニストを目指します。
プロのピアニストとは、ピアノ演奏で生計を立てる人です。
表現力豊かなピアノの音を奏でて、聴く人に力や感動を与えてくれます。
ピアノは多様なジャンルを演奏できる楽器なので、クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、イージーリスニングなど、多くの場面でピアニストが活躍しています。

プロの道を目指す人の多くは、幼少期からレッスンを受けて、高いレベルの演奏技術と音楽理論を習得します。
ピアニストとして名をあげていくためには、数多くの有名なコンクールでの入賞経験が大切です。
特に「ショパン国際ピアノコンクール」「エリザベート王妃国際音楽コンクール」「チャイコフスキー国際コンクール」は、世界的に知名度が高いです。
また、国内でも「浜松国際ピアノコンクール」や「全日本学生音楽コンクール」など、才能あるピアニストを発掘する場があります。
国際的な、あるいは国内で有名なコンクールのタイトルを獲得することで、ピアニストとして一躍注目を浴びることになります。

ピアニストとして注目を集めて有名になると、ピアニストとして生計を立てていけます。
賞金やCDデビューのチャンス、世界的なリサイタルへの出演機会など、活躍の場が広がるのです。
人気ピアニストは、自身のリサイタルを開くことができます。
最近ではインターネット上で自身の演奏を公開して、ファンを増やす方法も。

また、ピアノを習って目指す姿は、ソリストピアニストだけではありません。
シンガーソングライターやスタジオミュージシャンなどのアーティスト、様々な場所で一定のニーズがある音楽の先生などです。
ピアノ教室を開いたり、音楽大学の教員として働いたりすることで、将来有望な若いピアニストの育成に関われます。
自分の業績を追い求めるだけではなく、好きなピアノの将来の発展に貢献できるのです。

費用・準備するもの

幼児のピアノ教室は、月謝は一般的に約5,000〜7,500円程度が相場とされています。
また、教室によっては入会金や教材費などが別途かかる場合もあります。

さらに月謝に加えて、自宅で練習するためのピアノや楽譜なども必要です。
家にピアノを置くスペースがなかったり、近所への音漏れが気になったりする場合には、電子ピアノを購入するのもよいでしょう。
電子ピアノは新品で約3〜5万円程度で購入できますよ。
楽譜は先生が指定したものを購入するか、自分で購入する必要があります。
また、発表会のための出費や準備も必要な負担として考えておきましょう。

以下にかかる費用や、準備するものをまとめました。

かかる費用

• 入会金
• 月ごとの月謝
• 楽譜・教材代
• 発表会、コンクールの出演料
• 発表会の衣装代、準備費用

準備するもの

• 自宅で練習するためのピアノ
• 筆記用具
• カバン
• 発表会の衣装、髪飾り
• 楽譜（先生が準備してくれる場合もあります。）

上のリストを参考に、体験教室や通っている人から実際に何が必要かきいてみてくださいね。

教室を選ぶポイント

子どもにあったピアノ教室は、教え方の形式と、子どもが通う目的と教室があっているかをみるいくつかのポイントで選びましょう。

教え方の形式

個人レッスンか集団レッスンに通うかは、子どもの個性やそれぞれのレッスンのメリット・デメリットから決めてください。
個人レッスンでは、マンツーマンでピアノを習います。
個人レッスンのメリットは、子どものレベルや個性に合わせたレッスンを受けられることです。
どこが苦手でまちがいやすいか、どんな音楽が好きか見ながら教えてくれます。
デメリットは、月謝が集団レッスンよりも高い傾向があることです。
集団レッスンでは複数人の子どもが一緒に授業を受けます。
連弾ができたり、他の子どもと交流できるのが魅力です。
一方で、生徒ひとりひとりに目をかけてもらえるのは難しいでしょう。

一概にはいえないものの、ピアノ教室で「音楽を気軽にわいわい楽しみたい」「友達を作れる場がほしい」場合は集団レッスンがおすすめです。
「プロの道を目指したい」「何より上達したい」という場合には、必ず上達の早い個人レッスンの教室に通いましょう。

月謝・レッスン数

習い事を選ぶ際に必ず気にすべきなのは、必要な費用です。
教室によって月謝は異なるので、体験レッスンや口コミで確認してください。
また、レッスン数も目的に合わせて考えましょう。
週1回のレッスンをしている教室が一般的ですが、忙しい人なら月に1〜2回のコースや、プロを目指して上達したい人なら週に複数回のコースを選べます。
個人教室の場合は融通がきくことが多いので、ぜひ一度聞いてみてくださいね。

振替制度

多くのピアノ教室では、レッスンの曜日や時間が固定制です。
毎週通えるようにあらかじめ調整するのは必須ですが、それでも他の用事で欠席しなければいけない日がでてきます。
週に1回だとしても、レッスンが1回分なくなる損失は大きいです。
他の曜日や時間への振替が可能かどうか、事前に確認しましょう。

教室のアクセス・通いやすさ

長く通うためには、通うときの負担を考えることが大切です。
良い先生を見つけられたとしても、親の送り迎えが難しかったり、教室が遠すぎて子どもが疲れてしまったりすると、習っている意味がなくなってしまいます。
実際に通った場合の行き帰りの方法をイメージして教室を決めてくださいね。

先生のスキルと指導スタンス

先生は、子どもがピアノ教室を習う目的や、子どもの性格に合わせて選びましょう。
先生によって、教え方のスタンスに違いがあります。
例えば、スキルアップを第一に緊張感を持って教えるスタイルや、常に穏やかに優しく教えるスタイルなどです。
自分の子どもの上達のためにはどんなコミュニケーションが向いているのかを考えて、先生との相性を見極めてください。
とくに先生とのマンツーマンの個人レッスンの場合には、先生との相性を気にする必要があります。

また、子どもが本格的に音楽の道に進む場合には先生のスキルも重要です。
教え方の上手さに必ずしも直結するわけではありませんが、先生から実際の経験談を聞くことで、自分の夢を叶えるためのイメージ作りができるでしょう。

発表会・コンクールの出場頻度

せっかくピアノを習うなら、正装して多くの人に聞いてもらう機会が欲しいですよね。
発表会の機会や頻度は、教室によって異なります。
年に一度開催する教室が多いですが、小さい教室の場合には開催しないところもあります。

また、上達を目標にするならコンクールの出場頻度も。
子どもたちはコンクールに向けて普段より努力することで、ピアノが急激に上手になったり、自信がついたりします。
先生や教室によってコンクールに対する考え方があるので、コンクールの出場や練習への積極性が異なります。
もしスキルアップが一番の目的なら、生徒がレベルの高いコンクールに出場しているか聞いてみてください。

教室の設備

ピアノの音は繊細なので、設備やピアノの種類によって練習の環境が異なります。
教室の広さや音響設備、そして一番はグランドピアノがあるか確認しましょう。
グランドピアノとアップライトピアノでは、ペダルの役割や、音の響き、連打の引きやすさが異なります。
上達するためには、鍵盤のタッチひとつで音の幅を調整していくことになります。
一般的な家庭ではグランドピアノを置くことが難しいので、せめてピアノ教室ではグランドピアノで練習できる環境を持っていたほうがよいでしょう。

まとめ

幼児期から音楽教育を受けることは、子供たちの成長にとって良い影響がたくさん。
音楽の基礎を学びながらリズム感や集中力など、生活に役立つ能力を養うことができるのです。
幼児向けのピアノ教室は個人レッスンやグループレッスンなど、様々な種類のものがあるので、色々な目的にあった教室を選びやすいです。
まずは気軽に体験教室を探してみてはいかがでしょうか。
子供たちの未来にとって、ピアノは豊かな可能性を広げる一つの鍵となることでしょう。