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どうしてキレる?脳から考えたキレにくい子にするためのポイント4つ

どうしてキレる?脳から考えたキレにくい子にするためのポイント4つ

2016年12月24日 公開

子供が泣いたりワガママいったり駄々こねたり。ごく日常的に見かける光景ですが、少しのきっかけで自分を全く抑えられないぐらい感情が爆発する、つまりキレやすいと、親や友達との関係がうまく築けなくなることも。どうしたらキレない子供になるのでしょうか? 脳をキーワードに考えてみたいと思います。

そもそも"キレる"ってどういう状態でしょうか?

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キレるとはささいな刺激(言葉や態度・自分の中の欲求)がきっかけとなり、自分の中の怒りの感情が抑えきれなくなり外部に向けて爆発してしまう状態。

欲しいオモチャが手に入らなかったり(お友達に貸してもらえなかったり)、食べたいものが食べたい時に食べられなかったり、歩き回りたいのに静かに座っていなくてはならなかったり。
コミュニティの中で社会生活を送る上でこれらの欲求をうまくコントロールすることはこどもにとっても大切ですが、それが出来ずに感情を爆発させてしまうことはよく見られます。

オトナでもあるこの"キレる"とは一体どういう状態なのでしょうか?

脳の前頭葉は理性脳と言われますが、ここは系統発生的に一番新しい脳。魚や爬虫類では反射脳と言われる脳幹がその大部分を占めているのですが、霊長類ではいわゆる大脳皮質が大きく発達し、ヒトの進化過程では膨張と進化を重ねて脳の大部分を占めるようになりました。前頭葉(特に前頭前野)と言われる部分が大脳皮質の中でもヒトでは占める割合が高く、そしてこの部分は最後に発達します。

この前頭前野はいわゆる理性を司る部分で理性脳の象徴です。『知』をつくるために重要な場所で、ひとらしい他者への思いやりの気持ちを発生させる場所と認識されるようになりました。ヒトがヒトである由縁の脳と言っていいかもしれません。

この脳は生まれた直後はまだ未熟で幼児期から20歳頃までゆっくり発達し完成していきます。つまり前頭前野が未発達の子どもがキレやすいのはある意味当然なのです。

前頭前野と大脳辺縁系をつなぐセロトニン

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子供の前頭前野は未発達ゆえキレやすいのは当然ではあるのですが、いつもその状態にあるのは本人も周りも大変!

発達の段階にあると心得て、じっくる向かい合う余裕が親にあればいいのですが、子供のイライラや癇癪は親にも伝染するので厄介ですよね。

セロトニンとは神経伝達物質の1つで幸せホルモンとも言われています。これは感情の大元である大脳辺縁系から出される情報(怖い!お腹空いた!欲しい!など)を上手にコントロールしてくれます。前頭前野は様々な記憶を処理して最終的に今どう行動しようか決めるところです。情動脳である大脳辺縁系から出される情報に対し社会的・文化的な基準に照らし、時にこれを抑えるように働きます。"キレる"というのは司令塔である前頭前野を失い大脳辺縁系が暴動を起こしている状態です。セロトニンが前頭前野に働くとこの司令塔がうまく機能するので、心が安定しキレにくくなるのです。

このセロトニンは脳幹のセロトニン神経から分泌されています。実はセロトニンは身体中の様々な臓器から分泌されているのですが、脳で働くセロトニンは脳で分泌されたものだけです。

脳内のセロトニンを増やすには⁈

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残念ながらセロトニンを増やす薬はありません。しかし、いくつかのことを意識することでセロトニン神経を活性化させ、セロトニンを増やすことができます。
1.食事
http://www.dietguide.jp

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セロトニンは「トリプトファン」という必須アミノ酸から作られます。
このトリプトファンなどの必須アミノ酸は体内で合成されないため、必ず食事から摂る必要があります。

トリプトファンが多く含まれる食材には、豆腐、納豆、しょうゆ、味噌などの大豆食品、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品などがあります。

また、ゴマ、ピーナツ、卵、バナナなどの食品にも多く含まれていることが知られています。

セロトニンは、トリプトファン以外にもビタミンB6 、ナイアシン、マグネシウム、炭水化物を同時に搾取することで、体内に効率よく取り込まれる仕組みになっています。

バランスの良い食事をとっていれば、それほど意識せずに自然とトリプトファンを摂ることは可能です。
2.太陽の光を浴びる
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セロトニンが分泌されるのは起きている時だけです。光を浴びるのなら電灯の光でもいいでしょと思われるかもしれませんが、太陽の光と電灯の光ではその強さが全く違います。電灯の光を浴びてもセロトニンは活性化しないのです。
太陽光というと日焼けが気になる方もいると思います。目の網膜から強い光が入ればセロトニン神経が活性化するので、紫外線対策をした上で日光浴をすれば問題はありません。また日光浴から30分ほどでセロトニンは活性化するといわれています。
3.運動
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子供と一緒に外に出ましょう。運動といっても散歩などで十分。少し公園などが遠ければ自転車など使わず歩いてみましょう。
手と手を繋いでのお散歩は、子供との絆も深めてくれるとともにやはりセロトニン神経を活性化してくれます。

もともと子供は体を動かすことが大好き。近くに公園などちょっとした広場があれば、そこで動き回ってくれるでしょう。
4.グルーミング
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身近な人と触れ合っている時、気持ちが落ち着いた経験を持つ人は多いと思います。

グルーミングとは猿の毛づくろいやペットを撫でる行為のことを言いますが、肌を気持ちよく触っている行為とも言えます。

この時オキシトシンというホルモンが分泌されるのですが、このホルモンは性別や年齢に関係なく分泌されることがわかってきました。直接触るだけでなく、一家団欒や気の置けない人とのおしゃべりでも同じようにオキシトシンが分泌されます。

オキシトシンが分泌されると同時にセロトニンも分泌されます。その理由は、セロトニン神経がオキシトシンの受容体を持っているためで、オキシトシンはセロトニン活性も誘発するのです。

キレにくくなる対策も大切ですが、子どもに怒りと上手に付き合う方法を教えるのも同じくらい大切です。今、注目されている、「アンガーマネジメント」。こちらの記事を参考に、感情コントロールの方法を学んでみてくださいね。

まとめ

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加工品にたよらずバランスのいい食事をすること、外で遊ぶこと、しっかり抱っこすることで、子どもは常に心の安定が得られキレにくくなります。

それでも子どもの脳は未発達。社会的な体験が乏しいため、体験(記憶)と照らし合わせて適切な判断を下すことが難しい場面があって当然なのです。

子どもというのはもともとがキレやすいものであることを知っておくと、ママの気持ちも少し楽になるのではないでしょうか?