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乳がんとは?知っておきたい基礎知識と初期症状 セルフチェックもご紹介

乳がんとは?知っておきたい基礎知識と初期症状 セルフチェックもご紹介

2017年7月13日 公開

『乳がん』女性なら誰もが一度は恐れる病気ではないでしょうか。でも実際に、乳がんについて詳しく分からないという方は多いと思います。近年改めて注目を集めている乳がんについて今一度理解を深め、大切な家族のため、そして自分のために出来る事を考えていきましょう。

あなたは乳がんについて知っていますか?

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最近よく耳にする『乳がん』。フリーアナウンサーの小林麻央さんが乳がんで亡くなられた事も記憶に新しいのではないでしょうか?この訃報に心を痛め、改めて考えさせられた女性の方は少なくないと思います。私もその一人です。

一人の女性であり、大切な家族をもつ一人のママであるという彼女と同じ境遇から、今回改めて乳がんについて知っておく必要があると強く感じました。

今回乳がんについて調べて事で、自分がいかに乳がんについて無知だったか、そして乳がんの恐ろしさや乳がんと闘う女性が沢山いる事など、様々な事が分かりました。

私のように乳がんについて詳しく知らない方や、これから母親になるかもしれない若い世代の方々に少しでも乳がんについて考えて頂きたいと思い、記事を書かせていただきました。

乳がんってどんな病気?

女性の健康・医療情報.net (79002)

乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。女性がかかるがんの中で最も多いがんと言われています。乳がんは40代~60代の女性に多いがんですが、中には20代に発症することもあり、30代後半から急増する傾向にあるようです。

乳がんにはいくつか種類がありますが、どの部分にがんが発生するかで治療や考え方が変わっていきます。

中でも多くは乳管がんと言われる、乳頭部を中心に乳房全体に広がる母乳を運ぶ乳管の細胞ががん化した事により起きてしまうがんです。乳がんの約90%がこの乳管から発生するとも言われています。

この乳管から葉のように枝分かれしている部位を『小葉』と言い、小葉からがんが発生する場合が約5~10%あり、これを小葉がんとも言われています。

乳がんの原因は?なぜ今増えているの?

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乳がんの原因は様々なことが考えられていますが、主に遺伝的なものや女性ホルモンの過剰分泌、食文化の変化が大きく関わっていると言われています。

乳がんの発生や増殖に深く関わっているのが「エストロゲン」という、乳房の発育を支配する女性ホルモンの一種です。エストロゲンは主に出産や月経に関わる女性ホルモンとも言われ、30歳前をピークに増え続けその後は次第に低下していきます。

しかし、日本に欧米の食文化が定着しつつある今、高脂肪化や高たんぱくの過剰摂取などにより体格が大きくなり、日本人の女性の体内でより多くのエストロゲンが分泌されるようになりました。

よって、初経が昔より早くなり閉経は遅くなっています。同時に初産の高齢化が進んだり、子供を産まない、出産回数が昔よりも少なくなっている点からも、エストロゲンの作用する期間が長くなり、乳がんの発生率を高めているとも考えられています。

乳がんのタイプは主に『非浸潤がん』と『浸潤がん』に分けられる

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乳がんのタイプは大きく分けて以下の二つになります。このタイプによりその後の治療方法などが変わってくるのです。

非浸潤がん

一つは『非浸潤がん』であり、がんが発生した乳管や小葉にとどまることを指します。分かりやすく言えば、その場にとどまるため他の臓器に転移する可能性が低いタイプのものと言えます。

一見、転移の可能性が低いというところから安心してしまいがちですが、非浸潤がんは乳管内を這うように広がっていくという性質があるため、そこから新たに悪化してしまうケースもあるので安心はできません。

乳がんのごく初期の方は『非浸潤がん』と診断されることが多く、自覚症状として現れづらいことからマンモグラフィーなどの乳がん検診で発見されるケースが多いようです。



主な治療法としては、手術療法と言われています。乳房内にとどまったがんを、手術で取り除くことが出来れば完治すると考えられているので、乳房の切除をするという療法が多いようです。

しかし近年はMRIやCTなどといった医療機器の進化により病状の広がりを正確に把握できるようになったため、乳房の温存手術も行えるケースが増えてきました。

浸潤がん

一方、『浸潤がん』とはがんが発生した場所にとどまらず、乳管や小葉を包む基底膜をがん細胞が破り外へ出ていってしまう状態の事を指します。俗にいう『転移』などを起こすタイプのがんになります。

よく『しこり』という言葉を聞きますが、浸潤がんはこのしこりをつくるタイプのものが多く、痛みや乳房のえくぼ、違和感などの症状がみられます。

主な治療法としては、手術療法に加えて薬物治療を行う場合が多くなるようです。具体的には抗がん薬・ホルモン療法・抗HER2薬などがあり、これらはがんの性質や進行度合いなどにより変わっていくようです。

知っておきたい乳がんの初期症状とは

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上記でもお話しした通り、非浸潤がんの場合は症状として現れる事がほとんどないため、自覚症状がないままがんが進行してしまう恐れがあります。定期的な健診をすることはもちろん、初期の段階から現れるケースもあるので以下の症状を確認する意味で常に頭に入れておくと良いでしょう。

しこり

セルフチェックがきっかけで乳がんの発見に至る際、多くの女性が感じるのが「しこり」です。しこりは5㎜~1㎝程になれば自分で気が付くぐらいになるそうです。感覚としては、パチンコ玉のように硬く、指で押しても逃げないしこりの場合は乳がんの可能性が高いと言えます。

見た目に異常

乳がんがある場合、乳房に以下のような変化が見られる場合があります。
・乳房のくぼみ・ひきつれ
・変形
・ただれ
・左右の差
・変色

特に、乳頭や乳輪にびらん(ただれ)がみられる湿疹がある場合は、乳房パジェット病という乳がんの一つである可能性があります。パジェット病はがん細胞が乳頭まで突き進み、表皮に現れた状態で皮膚にかゆみをともなう紅色の湿疹が出来る症状が多いようです。

その症状から一見皮膚疾患と勘違いされやすいのですが、皮膚の治療を行っても改善が見られない場合はパジェット病を疑ってみる必要があると思います。

乳頭からの分泌物

乳首から血液が混ざったような分泌物が出るケースも、初期症状の一つです。似たような症状で「乳管内乳頭腫」という良性の病気もあるので、安易に考えてしまう場合も多いようですが、乳がんの割合も一定を占めているので思い当たる方は必ず検査を受けて欲しいと思います。

このような症状が出た場合は乳がんの超初期の段階が多いので、この時期に発見できることはとてもラッキーとも言えます。だからこそ安易に考えず、しっかりと調べる事をおススメします。

授乳中は乳がんになりにく!?でも油断は禁物

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よく「授乳をすると乳がんになりにくい」という噂を聞きますが、これは主にエストロゲンが関係していると考えられます。上記でもお話しした通り、妊娠中はエストロゲンが高まる傾向にあるものの、出産以降は減少し授乳中も分泌量が減少すると言われています。

よって、授乳期間はエストロゲンが低い状態である事から乳がんの発生リスクが低くなると考えられているそうです。現に、国立がん研究センターの『授乳と乳がんリスク』においての研究からも、授乳が乳がんのリスクを低下させる可能性があると結論が出されています。

しかし、あくまでも可能性なのです。授乳中に乳がんになる確率は、乳がん患者の約1%程度と言われていますが、ゼロではありません。実際に授乳中やその後乳がんになってしまった方は多くいらっしゃいます。

「授乳中だから乳がんは心配いらない」という思い込みが、返って手遅れになってしまう可能性もあるのです。授乳中は乳腺が発達している為、がんが見つかりにくく、さらに女性ホルモンの影響でがんの進行を早めてしまう恐れもあります。

授乳中の乳がんの発見を遅らせる要因は他にもあり、乳房のつまりによるしこりだと勘違いしてしまうケースがあります。授乳中に母乳が詰まり「乳腺炎」になってしまう方は多くいらっしゃるとおもいますが、その際にできるのが「しこり」です。

乳がんによるしこりを「乳腺炎か」と勘違いしてしまい、そのまま検査もせず放置してしまうことで、がんが進行してしまい手遅れになってしまったという方も多いのです。そうならないためにも、異変を感じたらすぐに病院で検査をしてほしいと思います。

ちなみに乳腺炎はしこりだけではなく、乳房に熱を持ったり、皮膚が赤みを帯びてかゆくなる症状もみられます。又、乳腺炎のしこりは触るとコリコリした感覚で痛みを伴います。これらの症状がはっきりとはみられず、自己判断が難しいようであればすぐに病院に相談するとよいでしょう。

自分で自分を守ろう☆乳がんセルフチェック

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これまでお話しした通り、乳がんは自分で見つけることが出来る可能性があるがんです。早期発見により助かる可能性も高くなるので、日々のセルフチェックを大切にしてほしいと思います。

頻度としては月に一回、生理が終わって1週間前後のタイミングで行うと良いでしょう。閉経後の方は、月に一度日にちを決めて、同じタイミングで定期的に行うことがおススメです。

入浴時がおススメ

入浴時、石鹸を使って指の腹で軽く押さえつけながら渦巻き状に乳房をなで、しこりの有無を調べましょう。石鹼を使うことで滑りが良くなり調べやすくなります。

又、裸になるため鏡で自分の乳房の変化をきちんと確認することも出来るので、セルフチェックを行う際は是非入浴時に行ってみて下さい。

仰向けの状態で

仰向けの状況で調べるとよりしこりなどが発見しやすいので、セルフチェックの際は仰向けの状態で以下のチェックも行ってみて下さい。

1.腕をあげた状態で、乳房の内側を軽く押しながら調べます。
2.腕を自然な位置に下げ、乳房の外側を調べます。
3.脇の下はリンパ節腫脹が出来る可能性のある場所なので、しこりの有無を調べます。
4.乳頭を軽くつまみ、血液のような分泌物がないかを調べます。

行こう!乳がん検診へ

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乳がんに限らず、定期的に検診を受ける事で早期発見に繋がるケースがあります。早期発見はその後の患者さんの人生を大きく左右する事にもなるので、是非定期的に検診を受けて欲しいと思います。

検診は主に3つのルートからになり、それぞれ内容やタイミング、費用などが変わってきます。まずは自分に合った検診を見つけましょう。

住民健診を有効に利用して☆

市区町村が住民の方を対象に行っている検診があり、低価格で受けられるというメリットがあります。しかし、対象年齢が決まっている場合が多く、2年に1回、40歳以上を対象とするところがほとんどのようです。

気になる方は、住んでいる市区町村にお問い合わせしてみて下さい。

職場検診で他の健診と一緒に☆

勤務先の健康保険組合などで行っている健康診断や、社員の妻対象の健康診断で乳がん検診も行うことが出来ます。乳がん検診だけでなく、他の検診も一緒に受けることが出来る場合が多いのが特徴です。

費用は、組合が一部を補助してくれることが多いので、低価格で受けられるメリットがあります。健康保険組合や事業所に問い合わせてみると良いでしょう。

個人検診でこだわって☆

上記の2つに該当していなかったり、自分で受けたい施設や検診内容がある場合などは、個人で検診を受ける事をおススメします。

検診は健康保険が使えない為、全額自己負担となり費用はかかってしまいますが、日時や場所などが自由に選べて、検査内容も選べるので自分の理想に合った検診を受けることが出来ます。

費用は施設や内容によって異なるので、検診前に確認しておくと良いでしょう。

最後に…

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乳がんについてご紹介していきました。赤ちゃんの命を支える「おっぱい」が、時に命を奪ってしまう物になるなんて…私自身ショックを受け、怖くなりました。しかし、母親になった今、子供たちのため、家族のため、大切な人のために今できる事をしよう!と強く感じたのです。

幸いにも乳がんは、自分で発見できる可能性の高いがんであり、セルフチェックや定期的な検診で早期発見された方は多くいらっしゃいます。

今現在、乳がんと闘っている方、乳がんで亡くなられた方、乳がん検診の大切さを声を大にして発信して下さっている方の教えを真摯に受け止め、今自分にできる事を考え、一緒にやっていきましょう!これからの女性が輝く未来のためにも…☆