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どんな場合に人工授精になるの?方法や成功率など人工授精の基礎知識

どんな場合に人工授精になるの?方法や成功率など人工授精の基礎知識

2017年6月26日 公開

現在、妊活を頑張っている方で中々妊娠しないと悩んでる方、沢山いらっしゃると思います。妊活をしていくうちに上手く行かないと思い病院へ通い出す方も多いと思います。始めは、タイミング療法をしていきますが、月日が経つと必ずと言っていい程、病院から人工授精の話は出ることが多いです。実際、検討中の方も多いと思います。人工授精って実際どうなの?その疑問を今回紹介して行きたいと思います。

人工受精とは?

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そもそも人工授精って何?と思われる方が多いと思います。
人工授精と名前の響きから凄く、人為的なイメージを持たれる事が多いですが実際はそうではありません。

実際は、少しでも多くの精子が卵管に届くようにする為行う方法が人工授精です。
人工的に行われるのは「精子を子宮内に注入すること」だけです。
名前のイメージだけで嫌煙されがちですが、精子を注入後の受精から着床までの妊娠そのものの成立は自然妊娠と同じ程度です。

ちなみに、病院へ行くと人工授精をする時に「AIH」や「AID」と記載されます。
意味としては以下の通りです。

AIHは配偶者間人工授精の意味で、夫の精液を注入。
AIDは非配偶者間人工授精の意味で、精子提供者の精液を注入。

する事を意味しています。


人工授精と同じく上がってくるのが体外受精(顕微授精)。
体外受精は、卵巣から卵子を採卵し採取した精子を体外で受精させて、2~6日間培養液で分割した胚を子宮に移植する方法をいいます。

人工授精と体外受精(顕微授精)では金額も大きく変わってきます。

人工授精が必要になる場合

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人工授精が必要になる場合はどのような場合なのか以下まとめてみました。

✔精子濃度が低い、精子の運動率が低下している場合

精液検査をした結果、軽度の男性不妊の場合に有効です。

以下、WHOより提唱している精液検査の基準値です。
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✔頸管粘液分泌不全

ヒューナーテストで、夫婦生活をとった後実際、精子が卵管粘液の中に侵入出来ているか調べます。
頸管粘液が不十分だと精子が子宮内に入ってこられないので妊娠には至りません。
また、ヒューナーテストを何回かしても結果が良くない場合は女性が抗精子抗体を持っていないか調べましょう。
特に女性が精子に対して抗体を持っていますと精子の動きが封じられて子宮内に侵入できなかったり受精できなかったりする場合があります。

✔子宮内膜症の場合

排卵誘発と併用することにより、人工授精が子宮内膜症に有効であることが報告されています。



その他にも、性交障害、勃起不全、精子には問題はなくタイミング療法で6周期以上行っても妊娠をしない場合など様々な理由で人工授精を勧められる場合があります。

人工授精の方法

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かつての人工授精の方法は、精液をそのまま子宮に注入するといった方法をしていました。
現在でもその方法をしている施設はありますが、しかし、その方法だと妊娠率が極めて低くなります。

その上、精液にはプロスタグランディンが含まれており、子宮が収縮し痛みがある場合があります。
また精液の中には細菌などが混入している場合もあるので現在ではこの方法を使用している施設は少ないです。

現在では、採取した精液を遠心分離して洗浄して精子を濃縮した後、子宮内に注入する方法をしている施設が多いです。

リスクや痛みはあるの?

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人工授精に対するリスクは特にありません。
不妊治療をしていると、障害を持った子供が産まれるのではないかと心配する方(特に親世代)も多くいますが実際は自然妊娠と特に変わりはありません。
ただ高齢出産になるとそのリスクは否めません。それも自然妊娠と何の変わりもないのですが、不妊治療は高齢出産になる年齢の方もされるので結果的に年齢の影響を受けてのリスクは高まる形になります。


人工授精をする際のメリットは…
・自然妊娠に近い形で妊娠できる
・痛みが殆どない
・割と安価である
・身体的、時間的に負担が少ないため毎周期受けれる


人工授精をする際のデメリットは…
・排卵誘発の際の副作用がある
・妊娠率は自然妊娠とそう変わらない



デメリットで上げている排卵誘発の際の副作用は、排卵誘発剤を使用した場合に多胎妊娠になったり、※卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性があります。
しかし、排卵誘発は全ての人が人工授精で行うわけではありません。
排卵が毎月しっかりある人は誘発剤を使用せずに人工授精をする場合が多いです。

気になる痛みに関しては、すんなりカテーテルが入れば痛みは感じない方が多いようです。
逆に子宮口の形によっては、カテーテルを入れる際に痛みを感じる方もいます。
※卵巣刺激症候群(OHSS)とは?
卵巣が腫れて腹水がたまり(最初は卵巣の周囲のみですが、ひどくなるとお腹全体に広がることがあります)進行すると、まれに血液が濃縮して血栓症が起きることがあります。通常の排卵直後や妊娠初期には、少々の卵巣の腫れや腹水はよくあることで、これの極端な状態がOHSSと言います。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは…

人工授精の流れ

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人工授精の際のスケジュールは主に以下のようになっています。
患者さんの症状、状況によっては違うこともありますが、だいたいのスケジュールを組む目安にと思っていて下さい。
※生理周期によってクリニックへ行く日数は変わってきます。

◆生理1~5日目

排卵誘発剤を使用する場合は、この時期にクリニックへ行きます。
自然周期排卵の場合は、クリニックへ行く必要はありません。

◆生理10~12日目

超音波検査で卵胞の大きさを計測します。この日に排卵日の特定をして人工授精を実施する日を決めます。

◆生理12~14日目

人工授精当日です。排卵日は前日~当日に当たります。
精子を旦那様にクリニックへ行って採るか、自宅で容器に採取したものを持参する。

精液を洗浄・濃縮

超音波で確認後、人工授精を行う。

◆生理14日目以降(人工授精後)

黄体機能の低下が認められる場合は黄体補充をする。(お薬など)

◆生理28日目以降

妊娠判定



の流れになっているクリニックが多いです。

人工授精後の生活は?

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人工授精後は、特に安静にしている必要はありません。
普段通りに生活して問題ありません。

ただ、人工授精の際にカテーテルが入りづらくて傷ついて出血したりする場合があります。
だいたいは、自然治癒で治っていくので問題はありません。
気になる場合は担当の医師に相談してみましょう。

人工授精に限らず妊活をしている上で禁煙はやはり心がけましょう。
その他、体が冷えるとやはり良くないので冷え症対策をしたり食事なども葉酸を含む栄養バランスが取れたものにするなど出来そうなことを無理せずやっていかれると良いと思います。

人工授精にかかる費用

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人工授精は保険適用外です。
人工授精自体は、15000~30000円程ですが、人工授精をする前後で内診、排卵誘発剤、ホルモン補充をすべて合わせると40000~50000円程かかります。
体外受精(顕微授精)に比べると圧倒的に安いですが、普通に産婦人科でタイミング療法をすることと比べると圧倒的に金額が高いかもしれません。
しかし、不妊治療をする上ではまだ金額が安い方なのかもしれません。

一般的に、助成金が出るのは特定不妊治療といわれる体外受精・顕微授精のみに掛かる費用が助成されますが、地域によっては人工授精でも助成金が出るところもあるので治療を始める前にチェックしておきましょう。

妊娠する確率はどれくらい?

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人工授精により妊娠する確率は、10%前後といったところです。
年齢によっても多少前後します。

不妊でない夫婦が自然妊娠する確率20%前後なので正直、確率としてはあまり良いとは思えないものです。

人工授精は妊娠する確率が上がると考えるより、可能性が少し上がると考えた方がいいかもしれませんね。
しかし、中々授かれない夫婦にとっては可能性が上がる事もすごく大事な事です。

人工授精を行う回数の目安

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人工授精は分かりやすくいうと、人工授精で妊娠する人が100人いるとしたら、9割近くの人が5回目くらいで妊娠するといわれています。
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5回目を超えたあたりから妊娠する人の確率が減っていきます。

実際、体験談を沢山読んだところやはり5~6回目までで妊娠されている方がほとんどでした。
勿論、5回以上の人工授精をして妊娠される方もいます。
しかし、逆に不妊原因がしっかり分かっている方は2~3回を目安にステップアップされる方も多いようです。

費用的には人工授精が圧倒的に金銭的負担が少ないので回数を重ねる方が多いですが、そうすると人工授精に掛かった総額が体外受精の費用と変わらなくなる事もあります。

ステップアップするタイミングを考えて人工授精に取り組んだ方がいいと思います。

まとめ

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この記事を書いている私自身、人工授精をした経験があるのですがデメリットよりメリットの方が大きく感じました。

ただ、人工授精をすると特に初めてする際はどうしても、過度に期待してしまうことが多いです。
もしかしたら着床してるかもしれない!とか気にしすぎてしまう方もいます。
それは、仕方ない事。
しかし、あまり気にしすぎてそれ自体がストレスになってしまわないにように過ごしましょう。

あんまり考えずにいるためには、楽しい予定を前後に入れたりすると、そちらに気を取られていいかもしれませんね。

そして、人工授精をする段階に来ているという事は妊活を暫くしている筈です。
人工授精の妊娠率は先に話したようにそれ程高くはありません。
人工授精をする前に、人工授精を何回するか、ステップアップはするのか?
などの話を夫婦でしっかりしておきましょう。