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乳がん検診40代から推奨なのはナゼ?20代30代はどうする?

乳がん検診40代から推奨なのはナゼ?20代30代はどうする?

2017年1月18日 公開

最近は若い著名人の乳がんの報道が多く、「私も乳がん検診を受診したほうがいいの?」と不安に思った方も多いはずです。しかし、自治体などの乳がん検診は40代からを対象としており、どうして若い人の乳がんも増えているのに40代からなの?と不思議に思ってしまいます。実は、日本にはまだ若い年代の乳がん検診が有効との根拠がなく、逆に不利益の方が多いとされているそうです。今回はその理由をご紹介します。

約12人に1人乳がんとはどんな病気なの?

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女性の約12人に1人が一生のうちに乳がんを患うと言われているくらい、乳がんはとても身近な病気です。

乳がんは基本的にはがんが出来るという点では、他のがんと同じです。
しかし乳がんは自分で発見できる唯一のがんです。

もし、がん細胞が出来てしまっていても、早期発見が出来ればゼロ期の状態で対処が出来るのです。

がん細胞は乳腺に出来るのですが、乳腺には血管もリンパ管もなく、早期に発見出来れば全身転移も免れます。
そしてきちんと腫瘍を治療出来れば、全身治療の抗がん剤を使用しなくても済むのです。

この早期発見と言われている時期を過ぎると、乳腺の構造を作っている基底膜を超えて、周囲の血管やリンパ管にがん細胞が入り込み、全身にがんが回ってしまう可能性も出てきます。
こうなると全身の抗癌剤治療やホルモン治療が必要になってきます。

乳がんが深刻化してからの治療は、お金はもちろんですが、恐怖や治療の辛さも更に大きくなります。

乳がんの検査方法とは

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乳がんの検査方法には代表的なもので4種類あります。

◎診触診
目視で乳房の引きつれやくぼみが無いかを確認し、直接手でしこりがないか、リンパは腫れていないか、乳頭から血性の分泌物が出ないかを診察します。

◎マンモグラフィ検査
乳がんの検査で最初に行う検査で、乳房を2枚の板で挟んでX線を照射することでしこりになる前の小さな乳がんを発見します。
画像では、乳がんは白く写し出されます。
乳がんの早期発見に有効な検査と言われています。

◎超音波検査
高い周波数の音波を出して、乳房内部の様子をモノクロの画像として描出する検査です。
30歳より若い女性は乳腺が発達しており、マンモグラフィ検査では乳房全体が白く写り、乳がんかどうかの鑑別が出来ません。
そのため30代より若い女性は、超音波エコーによる検査が主流となります。

◎CT・MRI検査
CTはX線を、MRIは磁場を用いて検査します。
CTもMRIも画像上で人体を輪切りにして検査をする装置で、腫瘍の広がりや正確な位置を把握するために行われます。

乳がんの検査に費用はいくらかかるの?

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乳がんの検診費用は、マンモグラフィや超音波の検査があるか無いか、個人検診、自治体検診によってそれぞれ金額が異なります。

40歳未満の女性は、自治体によって行われる市区町村の検診での費用負担はほとんどしてくれません。
そのため、全額自己負担になる可能性が高いです。

自分または夫の健康保険組合の制度に従って受診することも出来ますが、その場合も一部あるいは全額自己負担になる可能性があります。


一方、40歳以上の女性は自治体によって行われる市区町村の検診が2年に1度実施されているので、それを利用すると0円~3000円前後と比較的安い値段で検診を受けることが可能です。

全額自己負担で検査する場合は、マンモグラフィ検査は5000円前後、超音波検査は3500円前後と言われています。
これにプラスして診察代もかかってくるので、全体で15000円程度で行うことが出来るでしょう。

自治体や各医療機関に確認してから受診することをおすすめします。

20代30代には画像検診の有効性が低い!?

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自治体が40代からの乳がん検診を推奨している中、20代30代も同じように乳がん検診を受けるべきではと思いますよね。

しかし、専門家の方たちはこの世代の乳がんは稀なため、がんが見つかること以上に検診のデメリットの方が明らかに大きくなるという理由から、月に1度のセルフチェックで問題ないと言っています。

それは何故なのでしょうか。

◎若い世代はマンモグラフィ検査の有効性が低い
若い年齢の方は、乳腺濃度が濃いため、マンモグラフィ検診を受けても乳がんを発見できないことも多いのだそうです。
超音波検査は乳腺濃度に影響は受けないとされていますが、実施する技術者によって差があるため、まだ死亡率が下げられるという結論まで至っていないそうです。

若い年齢で乳がん検診を受けても、正しく発見できる可能性は限られてくるということです。

「がんの疑い」とされ不安になる不利益も

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ここで言う不利益とは「偽陽性」の問題です。
乳がん検診を受けると、ある一定の割合で「がんの疑いあり」と診断されます。
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上のグラフは、2010年日本乳癌検診学会による乳がん検診での偽陽性率と発見率の割合をグラフにしたものです。
このグラフを見ていただいても分かるように、この診断を受けた方の中に、本当に乳がんだった人は乳がん罹患率の高い40代でも0.2%~0.3%だそうです。

残りは全て偽陽性ということになります。

この偽陽性のがんを確認するためには、精密検査を受けたり、乳房に注射針を刺して、疑いのある部位の細胞や組織を採取する「生検」を行う場合があります。

結果で乳がんでなければひと安心ですが、ここまでの過程で行った精密検査や生検は、放射線を浴びる、小さな傷とはいえ針を刺される、など身体的負担が生じることも覚えておいてください。

乳がん検診には精神的負担がつきもの

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偽陽性で精密検査を行い、その結果が出るまでは最低でも10日ほどかかるそうです。
この精密検査の結果を待っている間、「私はがんなのかもしれない」と不安を抱えたまま待つことになります。

また、本当にがんがあったとしても、その中には進行しないがんが一定の割合で含まれるそうです。
しかし、がんが見つかった以上、治療はしますし、その人はがん患者となってしまいます。

そうなると、一生、再発の不安を持ち続けることになるという精神的負担も乳がん検診にはつきものだそう。

乳がん検診は、がんが早く見つかるというメリットがある一方で、こうした不利益を受ける人が必ず出ることを自覚して検診を受けなくてはなりません。

乳がん罹患率が高い40歳~75歳までの女性は、乳がん検診を受けて死亡率を減らせるメリットが、受けないデメリットを上回るということが立証されています。
そのため自治体も40代からの乳がん検診を勧めています。

20代30代はどのようにして乳がん検診と向き合うべきか

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これまでの説明から、乳がん検診に100%完璧は難しいということがわかります。

ここで肝心なのは、不利益を生じることを理解した上で、なるべく定期的に検診を受けること、そして自分でも月に1回セルフチェック行うこと、何か異常を感じたらなるべく早く乳腺専門外来を受診するということです。

定期的にがん検診を受けていた人が、セルフチェックで異常を感じ受診した場合、より早期で見つかる可能性が高く、乳がんで亡くなるリスクが低いことが複数の研究で明らかになっているそうです。

定期的にがん検診を受けていれば、がんが見逃される恐れも減ります。

セルフチェックで乳房にしこりを発見しても、「この前の検診で異常なしと言われたばかりだから問題ない」と思ってしまいがちですが、注意が必要です。

これまでにも説明してきましたが、マンモグラフィー検査では、若い世代は乳腺が発達していて、分かりにくいところにがんがあったり、さらに検診後に新たながんが発生したりする恐れはあるのです。

「がんの疑い」と診断されても、怖がらずに精密検査を受けるようにしたいですね。

いつもと違うは受診のサイン

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実際にメディアでも話題になっていますが、若くして乳がんを発症した方もいるのが現実です。
そのため、20代30代でも乳がんは身近な病気だと理解して生活していかなくてはなりません。

最低でも月に1回のセルフチェックは行うようにしましょう。

乳がん自分で観察したり触れたりすることで、発見出来る可能性が高いがんです。
ちなみに、乳がんの60%以上はセルフチェックで発見されているそうです。

セルフチェックのやり方

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◎入浴前
①両腕を下げた状態で、鏡に胸をうつしてみて、乳房に引き攣れやくぼみがないか確認します。
②両腕を上げた状態で正面、側面、斜めから同じように観察します。
③乳頭を軽くつまんでみて、血液や分泌液が出ないか確認します。

◎入浴中
①身体を洗いながら、乳房の周りにしこりやこぶがないか調べます。
②指を脇の下にいれ、リンパが腫れていないか確認します。

◎寝る前
①仰向けで横になり、腕を上げた状態で乳房の内側半分を指軽く圧迫しながら調べます。
②腕を下げて、乳房の外側半分を指で軽く圧迫しながら調べます。
③脇の下に手を入れ、リンパが腫れていないか確認します。


普段から乳房の状態を確認していれば、小さな変化でもすぐに気付きやすくなります。
月に1回決まった日にちにセルフチェックを行うようにしましょう。

乳がんの専門機関どこを受診すべき?

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女性の病気というイメージから、婦人科を受診する方が多いのではないでしょうか。
乳がんは乳腺科または、乳腺外科を受診するようにしましょう。

日本乳癌学会が乳腺の専門医のリストを発表しました。
近くの病院を確認してみてくださいね。

家族で乳がんの方がいる人・自覚症状のある人は早期に受診を

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遺伝子性乳がんや家族性乳がんの疑いのある方は、早期に乳がん検診を受けることをおすすめします。

遺伝子性乳がんとは、細胞の傷付いた遺伝子を修復する働きをする遺伝子が2種類あるのですが、そのどちらかに変異があることが遺伝子検査で確認されれいる人が対象です。

家族性乳がんは、近親者に乳がんや卵巣がんになった人が多く、乳がんになりやすい体質を受け継いでいる人です。
あなたは「乳がんハイリスク」? チェック
□ 40歳未満で乳がんを発症した血縁者がいる
□ 年齢を問わず、卵巣がんになった血縁者がいる
□ 年齢を問わず、血縁者に原発乳がんを2個以上発症した人がいる
□ 血縁者に男性乳がんになった人がいる
□ 乳がんになった血縁者が自分を含め3人以上いる
□ BRCAという遺伝性乳がんの遺伝子変異が確認された血縁者がいる
□ 抗がん薬、分子標的薬、ホルモン療法薬のいずれもの治療が難しい(トリプルネガティブ)といわれた乳がんの血縁者がいる
NPO法人日本HBOCコンソーシアム資料によると、この乳がんハイリストに該当する人は、普通の人よりも乳がんになるリスクが2~16倍にも高くなるそうです。

当てはまるものがあった場合は、乳腺専門医を受診して相談してみると良いでしょう。
チェックリストに該当したから、必ずしも乳がんになるわけではないということも忘れないでください。

自分の乳房には自分で責任を持とう!

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今日から実践出来る乳がんの防御対策は、セルフチェックです。
先程も説明しましたが、乳がんの60%以上はセルフチェックで発見されている、これはとても高い数値だと思います。

今まで家族の中に乳がんの人がいないからといって、油断は禁物です。

自分で発見出来る唯一のがんです。
自分の身体の変化には敏感になりましょう。

若い年代の乳がん検診には身体的、精神的苦痛も伴う場合もありますが、まずはどうしたら身体的にも精神的にも、そして経済的にも負担にならない検診が出来るか、乳腺専門医に相談してみるのも良いと思います。