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知っておきたい!妊娠高血圧症候群のこと◇症状や治療など経験者がご紹介します!

知っておきたい!妊娠高血圧症候群のこと◇症状や治療など経験者がご紹介します!

2017年6月20日 公開

妊娠中に起こる妊娠高血圧症候群。妊婦さんや妊娠を希望している方なら一度は耳にしたことのある病名ではないでしょうか。妊娠高血圧症候群が実際どんなものなのか、その病気についてや症状、治療についてわたしの体験談もあわせてご紹介します。

妊娠高血圧症候群ってなに?

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まずは妊娠高血圧症候群とは、というところからです。妊娠高血圧症候群とは妊娠中になんらかの理由によって血圧が高くなり、尿たんぱく、血管障害、臓器障害などを起こしてしまう病気です。

妊娠高血圧症候群の定義としては【妊娠20週から産後12週までに高血圧がみられる場合、また高血圧に尿たんぱくが伴う場合のどちらかで、なおかつ、これらの高血圧の症状が単なる妊娠の偶発合併症によって起こっているものではないもの】とされています。

20週から32週の間に発症した場合は【早発型】32週以降に発症した場合は【遅発型】というそうで、早発型の方が重症化しやすいそうです。
妊婦さんの3%~7%に発症していて、重症化するとママと赤ちゃん両方の命にかかわる症状となってしまう場合もあります。

妊娠高血圧症候群◇原因となりやすい人

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はっきりと原因がわかっていないのだそうです。妊娠にカラダがうまく適応できないからだといわれていたりします。原因かもしれないとされていることは、胎盤が作られるときにより多くの血液を赤ちゃんに届けるために作られる血管がうまく作れなかったというのが原因ということがいわれているようです。これも、確かな原因というのではなく、まだまだ研究の段階といえそうです。

ただ、妊娠高血圧症候群になりやすいとされる人はわかっているのであげてみます。

・妊娠する以前から肥満傾向にある(BMI25以上)
・妊娠してから体重が急激に増えた
・高血圧、甲状腺機能の障害、糖尿病などの持病がある
・血縁者(家族)に妊娠高血圧症候群になった人がいる
・年齢が15歳以下、または、35歳以上
・初産の人や前回の妊娠出産から5年以上たった経産婦
・双子などの多胎妊娠の場合
・前回の妊娠のとき、妊娠高血圧症候群になった人

年齢的に、35歳以上はリスクが高くなり、40歳を超えるとますますリスクがあがるといわれています。
BMI値が25以上の肥満気味の人や高血圧の症状のある家族や親せきが多い場合のリスクは通常の3倍ともいわれているようです。

なりやすい人に当てはまっているから、必ず妊娠高血圧症候群になるということではもちろんありません。妊娠中の過ごし方など、発症しないようにリスクを下げる生活をすることは可能です。
「なりやすい体質のようだから」とあきらめる必要はありません。

妊娠高血圧症候群◇どんな症状?

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妊娠高血圧症候群の主な症状は

・血圧の上昇
・むくみ
・頭痛
・めまい
・倦怠感
・眠気
・ほてり
・尿たんぱく
・尿が少なくなる

このような症状が出るそうです。妊娠するとあらわれる症状と区別がつきにくいものもありますが、カラダの変化には気をつけておいた方がいいですね。
血圧や尿の検査は、妊婦健診のたびにするので、きちんと妊婦健診に行って早めに症状をキャッチできるようにしましょう。

重症化したときの症状

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妊娠高血圧症候群で危険な症状の代表的なものが3つあります。【子癇】【HELLP症候群】【常位胎盤早期剥離】この3つはママと赤ちゃんを命の危険にさらすものなので十分に注意が必要です。

子癇は、急激に血圧が上がったことで脳の中の血が増えて、脳の中でむくみが起き痙攣を起こす症状をいうそうです。
気を付けたい症状としては、突然目がチカチカしたり、見えにくくなったり、ひどい頭痛やひどいほてりなど、それまでになかったのに突然あらわれたという症状があったときは受診した方がいいですし、痙攣をおこした時にはすぐに救急車を呼んだ方がいいでしょう。

HELLP症候群は、血液中の赤血球が壊されしまい肝機能が悪くなり、血小板が減ってしまう症状のことをいうそうです。
突然みぞおちあたりが痛くなったり、吐き気や嘔吐といった症状が出るのだそうです。妊娠高血圧症候群の妊婦さんの4%~12%が、子癇の50%に発症するのだそうです。

常位胎盤早期剝離は、子宮の正しい位置にある胎盤が、赤ちゃんが生まれるよりも早くにはがれてしまう病気です。死亡率はママが5%~10%、赤ちゃんが30%~50%と高いといわれています。
症状は異常なおなかの張りと出血、おなかの痛み、胎動が少なくなるといった症状があるといいます。胎盤のはがれ方が大きい場合、出血性ショックを起こしたり、赤ちゃんが亡くなってしまうという可能性もあるそうです。
出血が止まらないときは子宮を摘出して止血しなくてはならないという場合もあるそうです。

子癇、HELLP症候群、常位胎盤早期剝離いずれにしても危険な状態です。ママ守るため、赤ちゃんを早い段階で出してあげる選択をしなければならないことも多くあります。
妊娠週数が早いなど、赤ちゃんを守れないという場合もあるというリスクの高い状態です。

妊娠高血圧症候群◇診断や重度と経度の基準

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妊娠高血圧症候群はどんな基準で診断されるのでしょうか。端的にいうと、妊娠20週から産後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧にたんぱく尿を伴う場合を妊娠高血圧症候群と診断されるのだそうです。
ただし、妊娠する前から高血圧やたんぱく尿の診断を受けている場合は、高血圧合併妊娠など妊娠高血圧症候群とは違う診断になるのだそうです。

基準となる数値は【140/90mmhg以上】【尿中のたんぱくの量が300mg/日以上】とされています。

軽度と重度の違い

妊娠高血圧症候群の症状にも軽いものと重度のものがあるようです。

*軽度な場合の基準値*

収縮期の血圧(上と呼ばれる)140mmHg以上、160mmHg未満で、拡張器の血圧(下と呼ばれる)が90mmHg以上、110mmHg未満、どちらかに当てはまっていて、尿たんぱくは300mg/日以上2000mg/日未満。

*重度な場合の基準値*

収縮期の血圧が160mmHg以上で拡張器の血圧が110mmHg以上、尿たんぱく2000mg/日以上の場合。

妊娠古家悦厚症候群の治療をしたり、症状の管理をするためには大切な基準となる数値なので、妊婦健診などでの検査はとても重要なものとなります。

妊娠高血圧症候群◇赤ちゃんへの影響

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妊娠中、赤ちゃんへ血液を送る量は赤ちゃんの成長とともに多くなっていきます。その量は妊娠していない時期の約1.5倍ともいわれています。

妊娠高血圧症候群となった場合、血流が悪くなってしまうという症状もあるので、赤ちゃんに送る血液(酸素や栄養)を十分に確保できない状態となってしまう場合があります。
十分に酸素や栄養を受け取れない赤ちゃんには【胎児発育不全】【胎児機能不全】といった症状を引き起こしてしまうのだそうです。
そのため、出生体重が低くなったり、低酸素症で脳に影響が出てしまうということも起きてしまうのだそうです。

妊娠高血圧症候群◇治療は?予防法は?

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妊娠高血圧症候群となった場合の治療や、妊娠高血圧症候群とならないための予防法を考えてみましょう。

妊娠高血圧症候群の治療について

妊娠高血圧症候群の治療は【妊娠状態が終わらないと治らない】というのが実際のところとわたしが分娩した病院の医師はいっていました。

妊娠の中断をすればママは妊娠高血圧症候群ではなくなりますが、妊娠34週以下の場合、赤ちゃんが未熟なときは出産してしまうと危険です。妊娠を継続できるようにして、出産をするタイミングをはかるということになるようです。

経度なうち(緊急性のない間)は、安静を心がけることと急激に体重を増やさないように気を付け、減塩するという食事療法を行うことになります。
塩分は一日7~8gの摂取に制限されます。他にもBMI値に合わせたカロリーの食事を3食と規則正しい食事が理想です。

安静や食事療法で血圧が安定しない場合は降圧剤など、赤ちゃんに影響しないとされる薬を服用することになることもあります。

妊娠高血圧症候群の予防法は?

原因がはっきりしていないので「これをすれば予防できる!」という確かなものがないんですよね。治療でもご紹介したような、食事療法など太りすぎないようにすることは予防の助けになるかもしれません。

妊娠高血圧症候群◇入院になる?

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妊娠高血圧症候群になったら、必ず入院になるということではありません。症状によってということになります。

治療についてでご紹介した通り緊急性がない軽度な場合は、自宅にて安静と食事療法で乗り切れる場合もあります。
しかし、自宅で安静にできていない場合や血圧や尿たんぱくなど安定しなかった場合や重度の妊娠高血圧症候群と判断された場合は、管理が必要と判断され入院という形になるでしょう。

入院すると、食事や血圧、赤ちゃんの状態などしっかり管理してもらえるので安心感は大きいです。しかし、妊娠高血圧症候群での管理入院中の妊婦さんのやることといえば【安静】これです。
症状や状態によって安静の度合いが変わってきますが、まったくベッドから動くこともできない場合も多いです。

管理入院の費用について

妊娠高血圧症候群での管理入院は出産(分娩)での入院とは違って、病気の治療ということになるので、医療保険が適用になります。管理入院がどれくらいの期間になるかわかりませんが、入院費は大きな負担になるところですから、加入している保険がどのようになっているか確認して、保険金の請求をしましょう。

保険請求にどんなものが必要になるのか、加入している保険会社に問い合わせて必要なものをそろえるといいでしょう。

妊娠高血圧症候群◇帝王切開になる?

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妊娠高血圧症候群となったから100%帝王切開でのお産になるということではないのです。妊娠高血圧症候群となった妊婦さんの約半数が帝王切開での出産となっているようですが、状態が安定していて、通常の分娩で問題ないと判断されるときには、帝王切開の適用にはなりません。
通常の分娩での出産となったとしても、分娩中に問題が起こったときには緊急帝王切開に移行するという可能性はあるということになります。

基本的には、ママと赤ちゃんの状態、妊娠週数、病院の体制や新生児医療の体制などさまざまなことを考慮して出産の方法が判断されることになるでしょうから、主治医としっかり話をしておく必要があるでしょう。

妊娠高血圧症候群◇産後の症状は?

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妊娠状態がが解消されれば治るといわれる妊娠高血圧症候群ですが、出産を終えた後も血圧が高いままになってしまうことがあります。
だいたい産後1ヵ月ほどで落ち着いてくるといわれています。産後3ヶ月までは妊娠高血圧症候群の影響とされますが、それ以降は他の病気が隠されている場合があるため、内科的な検査や治療が必要となる場合があります。

産後も血圧が高い場合には、妊娠高血圧症候群の治療と同様の安静と食事療法を続ける必要があります。
赤ちゃんのお世話以外のことはなるべく避けて、安静にししっかり休息をとることが重要です。

産後も高血圧となった場合は、授乳を断念することになる可能性があります。薬を飲んで治療をする場合も、赤ちゃんへの授乳に影響がないとされるものもありますが、そうでないものもあるので主治医の説明をしっかり聞いておく必要があるでしょう。

妊娠高血圧症候群◇体験談【わたしの場合】

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これを書いている私には、2人のこどもがいます。現在3歳の男の子と1歳の男の子です。長男、次男、ともに妊娠高血圧症候群となってしまったわたしの体験をお話したいと思います。

まずは、妊娠高血圧症候群となりやすい人にわたしが当てはまっていたかどうかですが、当てはまっていたと思います。
長男のときは初産で35歳で妊娠、親族に高血圧の人が多い、BMI値は25以下でしたがぽっちゃり体型でした。3つもなりやすい人に当てはまっていたことになりますね;
次男はもう前回の妊娠がそうでしたので、覚悟をしていたという感じです。

ではまず、長男のときのお話を。長男の妊娠時は特に妊娠高血圧症候群との診断は受けていませんでした。要注意であまり体重を増やすなとの指導はありました。
しかし、出産直後から血圧が高くなり【産後高血圧】となりました。収縮期の血圧が180mmHgを越えてしまい服薬治療が必要となり、授乳を断念することになりました。
服薬を産後1ヶ月続けると、血圧は落ちついたので軽いもので済んだのだと思います。

続いて、次男です。次男の妊娠時は妊娠初期から血圧は高めで、前回の産後高血圧のことがあるので要注意といわれていました。妊娠初期は収縮期で130mmHg台後半で拡張期で80mmHg台でした。
次男妊娠時、管理入院前日の夕方の血圧

次男妊娠時、管理入院前日の夕方の血圧

前回の妊娠が産後に高血圧となったこともあり、はじめから食事の指導や体重制限があり妊娠高血圧症候群の診断を受ける前から管理をされていました。
食事は減塩を心がけて、なんとか体重を増やさずに血圧が上がらないようにと、もう本当に必死でした。吐きつわりで、妊娠初期に2㎏減ったこともあってお産のときまでに非妊娠時より4㎏増で抑えられました。

安静にしなさいとの指示もありましたが、長男のお世話もありなかなか安静が難しく、妊娠後期里帰りのため実家に戻ってから急に血圧が上がりだし収縮期160mmHg拡張期100mmHgとなり35週半ばの健診の日に管理入院となりました。
管理入院中は7g/日の塩分制限と安静、入院しても血圧が下がらないので正期産までの間服薬治療をして持ちこたえるという治療を受けました。
10日ほどの入院ののち退院して出産のその日を待つという感じでした。38週はじめに陣痛がきましたが、微弱陣痛が続き母体の衰弱が危険と判断され緊急帝王切開での出産となりました。

産後も血圧が高いままでしたので、またしても服薬治療をして産後3ヶ月あたりには落ち着いてきたという感じです。
3ヶ月たっても血圧が下がらない場合は、他の病気が隠れていないか内科的に検査治療をすることになるといわれていましたので、なんとか3ヶ月で落ち着いて安心しました。

現在は血圧の治療などは受けていませんが、将来高血圧になりやすいから注意するようにと医師にいわれています。

わたしの場合自覚症状があまりありませんでした。頭痛や目がチカチカしたり血圧が上がっているのかもという症状が若干ある程度でした。自覚が難しいとなれば妊婦健診が本当に大切なんだと実感しました。

まとめ

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妊娠高血圧症候群は、極端に怖がる必要もありませんが、重度となるとママや赤ちゃんにとって危険な病気です。

なりやすい人もご紹介しましたが、それに当てはまらないからならないというものでもないので、妊娠高血圧症候群というものがどんなものなのか把握しておくことはとても大切なことだと思います。

自身の経験もご紹介させていただきましたが、次男のマタニティー生活はとてもつらかったです。「とにかくわたしも赤ちゃんも元気に出産を終えたい」その一心でした。
つらかったことも、妊娠中がんばったことは、次男にあった瞬間に報われたのだと思います。

これから妊娠を考えている方は、こんなこともあるんだと知ってもらえたらうれしいです。
そして、妊娠高血圧症候群で不安を抱えている方、病気を知った上で主治医の指示とママのがんばりが赤ちゃんとの出会いへの道だと思うので、前向きに日々を過ごしてほしいなと思います。