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不妊症になる原因と治療法は?受診の目安と病院の探し方も紹介

不妊症になる原因と治療法は?受診の目安と病院の探し方も紹介

2017年1月13日 公開

赤ちゃんが欲しいと思っても、なかなかうまくいかずに悩む人は多いもの。なぜ授からないのか、冷静に探り行動することが大切です。ここでは不妊の原因や病院の受診目安などについて見ていきましょう。

不妊症は病気ではない

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一口に不妊症と言いますが、実は「不妊症」という病気はありません。
不妊症はさまざまな原因によって妊娠しない「症状」のことを言います。「私は不妊症だから妊娠はできない」という言い方は正しくないということになりますね。「◯◯が原因で、妊娠しない状態だ。だからその原因を改善しよう」というのが不妊治療のあり方です。
不妊症の原因はさまざまで、原因が女性側にある場合も、男性側にある場合もあります。また検査をしても特に原因が見つからない場合もあります。
実際に妊娠するのは女性ですが、男性にも不妊症という言葉を使って不妊状態を表現します。

不妊症になりやすい人の特徴は?

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不妊症になりやすい人には以下の特徴があると言われています。

【女性】
・月経異常がある人・・・排卵障害が疑われます。
・過去に子宮内膜症や子宮筋腫を指摘されたことがある人・・・特に子宮内膜にチョコレート嚢胞がある人は妊娠しづらくなります。
・性感染、骨盤腹膜炎を経験した人・・・卵管の異常による不妊につながりやすくなります。

【男性】
・糖尿病の経験がある人・・・糖尿病の悪化により精子を生産する能力が弱まります。
・幼少期におたふく風邪にかかり高熱が出た人・・・精子を作る能力が弱まっている可能性があります。
・幼少期にヘルニアの手術をした人・・・精子を運ぶ管が詰まっている可能性があります。

このほか、「無理なダイエットをしている」、「喫煙の習慣がある」、「偏った食生活」、「冷え性」なども不妊症になりやすい人の特徴に挙げられます。

不妊症と判断される目安

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健康な男女が妊娠を望み、一定期間性交を行っているにもかかわらず妊娠に至らない状態ですと不妊と判断されます。「一定期間」とは、WHO・日本産婦人科学会ともに「一年」としています。
また、子宮内膜症を患っていたり極度の月経不順で排卵障害が起こる場合は妊娠しづらいため、不妊症を疑って検査を行うこともあります。

不妊症になる原因(女性編)

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女性の不妊症の原因は以下のものが挙げられます。

◯排卵因子・・・月経周期や月経量などに異常がある場合、排卵障害による不妊症となります。
◯子宮因子・・・子宮筋腫や粘膜下筋腫は受精卵の子宮内への着床を妨げます。
◯卵管因子・・・卵管が詰まっていたり狭くなっている場合や卵管の周辺が癒着を起こしていると受精卵が子宮内部にたどり着くことができません。
◯頸管因子・・・頸管粘液の減少により、精子が子宮内部に進入しにくくなります。
◯免疫因子・・・精子の通過を妨害したり運動を止めてしまう抗体がある場合、精子が通過できません。

この他、検査をしても原因が特定できないことも多くあります。

不妊症になる原因(男性編)

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続いて男性編です。男性の不妊症原因は以下のようになっています。

◯性機能障害・・・勃起障害(ED)で性交ができなかったり、性交はできても膣内での射精ができないと不妊症の原因になります。
◯精液性状低下、無精子症・・・精巣での精子形成過程やその後の運動能力獲得の過程で異常があると、精子数の減少や運動能力の低下、奇形などが起こり受精しにくくなります。これには症状が比較的軽度なものから重度のものがあります。
精液中に精子がまったく見られない無精子症も不妊症となります。

原因を調べるための検査方法

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不妊症の検査にはどのようなものがあるのでしょうか。
自宅でできることは基礎体温の計測です。毎朝体温を測って記録するだけですが、これで排卵の有無がわかりますし、病院を受診するときは必ず計測記録を持参するように言われます。妊娠を望む女性が必ず行いたい習慣ですね。
病院での検査には様々なものがあり、一通りの不妊検査を行おうと思ったら月経周期に合わせて1~2か月の間、3~5回程度は通う必要があります。
病院で行われる検査は以下のようになっています。

【女性】
・ホルモン検査(月経周期に合わせて尿や血液を採取し、女性ホルモンの数値を見る)
・超音波検査(経膣超音波により子宮内部に異常がないか検査する)
・卵管造影検査(卵管に造影剤を注入して卵管に詰まりがないかを検査する)
・フーナーテスト(排卵のタイミングに合わせて性交した後、子宮頸管粘液内の精子の運動状態を検査する)

【男性】
・精液検査(精液を採取し、精子の運動状態を検査する)

こうして見ると、検査するだけでも女性の負担がいかに大きいかがわかりますね。

不妊症の治療方法と治療費の目安

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不妊治療の費用は病院によって大きく異なりますので一概には言えませんが、おおまかな治療方法とその費用について以下に挙げてみます。参考にしてください。

○タイミング指導・・・不妊検査で大きな問題が見つからず、年齢が若い(35歳以下)の場合は大抵ここからスタートします。卵胞の様子などから排卵期を予測し、性交タイミングの指導を受けます。費用は1回あたり数千円~1万円程度です。

○人工授精(AIH)・・・タイミング指導を数回受けても妊娠しない場合は人工授精に進みます。精子に問題が見られる場合に有効な方法で、採取した精子の中から生殖能力の高いものを選んで子宮に直接注入します。費用は1回あたり2~3万円程度です。

○体外受精(IVF)・・・人工授精を数回受けても妊娠しない場合は体外受精に進みます。女性の体内で良い状態に育てた卵子を一度取り出し、精子を卵子にふりかけて自然受精させます。受精卵を培養した後、子宮に戻すというプロセスです。体外受精については排卵誘発方法や受精卵の凍結保存の有無、成功報酬制度の導入などで、1回あたり20万円~100万円程度と人によってかかる費用の差が大きくなります。納得できるまで説明を聞いて決断しましょう。

○顕微授精(ICSI)・・・卵子と精子を女性の体外で受精させて体内に戻すというプロセスは体外受精と同じです。異なるのは受精方法で、体外受精が精子を卵子に振りかけて自然受精するのを待つのに対し、顕微授精では質の良い精子を一つだけ選び、卵子に人工的に注入することで受精させます。精子の運動能力に問題がある場合などに適した治療方法で、体外受精よりも技術を必要とすることから治療費は30万~100万程度と高めになっています。

タイミング指導で妊娠に至った場合と顕微授精まで進んだ場合では治療費は大きく変わります。「どの程度まで治療を行うのか」、「捻出できるお金はどれくらいあるか」などを考え、ある程度の計画を立てて臨みましょう。
また、国や自治体の助成金制度も見逃す手はありません。助成の条件や内容をしっかり理解して活用しましょう。

受診の目安と病院の探し方

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妊娠を望んでから1年経過しても妊娠に至らなければ不妊症と考え、受診しましょう。しかし、生殖器系に不安がある人や生理不順の人、高齢で結婚してあまり時間に余裕がない人は、1年を待たずに受診することをオススメします。

ここで少し私の話をさせてください。
私が結婚したのは35歳ですでに高齢出産の域に入っていたため、1年を待たずに不妊検査を受けることを決めました。
そこで悩んだのは病院の選び方です。以下は私が病院を選ぶ際に重視したポイントです。

①家から近い・・・検査の結果次第では何度も通うことになりますので距離は重要です。治療が長引いても通院が苦痛にならない範囲で探しました。

②不妊治療に力を入れている・・・産婦人科であればある程度の検査や指導をしてもらえますが、お産や妊婦健診がメインの病院の場合、高度な治療は行っていないところもあります。高度な治療を受けたいと思ったときに転院しなくても済むよう、初めから不妊治療を専門的に行なっている病院を選びました。

③待合室に妊婦さんや子ども連れの方がいない・・・不妊治療中、妊婦さんの姿はプレッシャーになるかもしれないと考え、待合室が別の病院を希望しました。

主に上記3点を重視し、口コミなども参考にしながら納得のいく病院を探しました。
軽い気持ちで病院選びをすると、後から通うことが難しくなったり転院のためまた病院探しから始めることになったりと、時間のロスにつながることもあります。
長いお付き合いになるかもしれないと考え、病院選びは慎重に行いましょう。

妊娠できる時期には限りがある

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今や結婚に適齢期などなくなってきていますが、妊娠には残念ながら年齢的な限界があります。女性は30歳頃から、男性は35歳頃から徐々に妊娠しづらくなり、女性が40歳以上になると体外受精の成功率もグッと下がり、20%以下に。自分はまだ若いから大丈夫と治療を先延ばしにして、いざ治療を始めてみたら思いがけず時間がかかって妊娠率がどんどん低下していくということもあります。
時間は待ってはくれません。年齢の壁は本当に大きく、精神的なプレッシャーも重圧となります。「もっと早く治療を開始していれば」と後悔するのは辛いものです。妊娠を望んでおり、少しでも不妊症が疑われるのであれば迷わず検査に行くことをおすすめします。

まとめ

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「なぜ赤ちゃんを授からないのだろう・・・」そう思ったら、自分の症状をしっかり把握し必要な治療を受けることが大切です。不妊治療は高いハードルではありません。まずは信頼できる病院を探して、一歩踏み出すことから始めてみましょう。
参考にしたサイト:
一般社団法人日本生殖医学会ホームページ http://www.jsrm.or.jp/public/index.html
公益社団法人日本産婦人科学会ホームページ http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/funin.html
「徹底比較 不妊治療のおすすめ病院」http://www.hopefor-baby.com/