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妊婦が風疹にかかると危険なの?お腹の赤ちゃんへの影響は?妊娠中に感染しない為の予防法3つ

妊婦が風疹にかかると危険なの?お腹の赤ちゃんへの影響は?妊娠中に感染しない為の予防法3つ

2018年5月16日 公開

妊婦さんが風疹にかかると胎児に障害をもたらす危険性があるのをご存知ですか?日本ではまだ知らない人も多いため、「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが産まれた事例が数多くあります。後悔しないためにも是非妊婦さんとその家族に知って欲しい!妊娠中の風疹感染について詳しくご紹介します。

妊婦の風疹感染は何故危険なの?そもそも風疹ってどんな病気?

Virus Microscope Infection · Free image on Pixabay (117626)

風疹は、多くの場合子供の頃に感染しているか、予防接種を受けているので、大人になってかかることはないのですが、中には抗体が出来ておらず、大人になってから初めて感染してしまう人もいるのです。

風疹自体は、それほど重い病気でないため、怖がる必要はないのですが、妊婦さんが感染してしまうと、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、注意しなければならないのです。

◆そもそも「風疹」とは?

風疹とは、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症のこと。春から夏にかけて流行することが多く、くしゃみや咳など飛沫感染する病気です。この風疹の感染力は、インフルエンザの数倍にも値すると言われており、非常に強い感染力を持っています。

感染した場合、2~3週間の潜伏期間を経て、首または顔などに赤く小さな発疹が現れ始めます。その後、発疹は全身に広がっていき、発熱やリンパ節の腫れ、関節痛などの症状が現れることがあります。

しかし、多くの場合3日から1週間ほどで症状が落ち着いてくるため、昔の人は「三日ばしか」と呼んでおり、さほど重篤な病気ではないのが特徴です。感染した人の4分の1くらいは、無症状の人もいるため、本人も気づかないうちに感染していることもあるそうです。

◆お腹の赤ちゃんへの影響は?

妊婦さんが風疹に感染した場合、母体にはそれほど影響はないのですが、心配なのはお腹の赤ちゃんへの影響です。胎盤を通して風疹ウイルスがお腹の赤ちゃんに感染してしまった場合、「先天性風疹症候群」を引き起こす恐れがあったり、最悪の場合、流産・死産となってしまうケースもあるのです。

特に、赤ちゃんの器官が作られる時期に感染してしまうと、目や耳などあらゆる器官に障害が残ってしまう危険があるのです。ママの妊娠週数が進むにつれて、そのリスクは減っていきますが、妊娠初期~中期は特に気を付けたいt時期ですね。

先天性風疹症候群(CRS)とは?

Baby Sepia Sleep Small · Free photo on Pixabay (117627)

先天性風疹症候群(CRS)とは、妊婦さんが風疹に感染したことで胎内感染をし、生まれてくる赤ちゃんに先天性の障害が現れる病気のことを言います。

妊娠初期の場合、約70%の確率で赤ちゃんに障害が出ます。特に、赤ちゃんの器官が作られる妊娠12週未満の場合、母体が風疹ウイルスに感染すると、胎児は約80%の確率で感染し、そのうちの90%以上が先天性風疹症候群を発症すると言われているのです。

これほど高い確率で発症する危険性があることを、妊娠・出産を控える妊婦とその家族は知っておく必要がありますね。

◆先天性風疹症候群の症状とは?

先天性風疹症候群の主な症状は以下のとおりです。

【現れやすい症状】

・難聴
・白内障
・糖尿病
・発育遅延
・小眼球
・精神発達遅滞
・網膜症
・肝脾腫
・先天性心疾患

これまでのデータによれば、妊娠3ヶ月頃に母体が風疹ウイルスに感染すると、目や耳、心臓に症状が現れやすく、それを過ぎて感染する場合、難聴や網膜症が現れやすいとなっているそうです。

◆先天性風疹症候群の診断方法は?

先天性風疹症候群の診断方法は、新生児の症状やウイルス遺伝子の検出だけでなく、感染した赤ちゃん本人や臍帯血から血液を採取し、風疹IgM抗体の検出が確定診断として用いられます。

この風疹IgM抗体は、胎盤を通過することがないため、赤ちゃん本人が感染し、抗体を作りだしたという証拠となるのだそうです。

先天性風疹症候群の気になる治療法は?

Medical Appointment Doctor · Free photo on Pixabay (117628)

もし赤ちゃんが先天性風疹症候群になってしまった場合、治療法はあるのでしょうか?実は、先天性風疹症候群自体を治療する方法というのは、現段階では存在しません。そのため、産まれてきた赤ちゃんに現れた症状に対して治療を行っていくことしかできないのです。

例えば、赤ちゃんに難聴の症状が出ているようなときは、人工内耳の手術を行ったり、白内障の症状が出ているのであれば、手術可能な時期が来た時に治療をスタートします。他にも心疾患が見られる際は、その症状別に内服治療や外科的治療を施していきます。

欧米では先天性風疹症候群はゼロ!日本では何故多い?

Business Success Winning · Free image on Pixabay (117629)

発症してしまった場合、対処療法しか治療法がない先天性風疹症候群。風疹が大流行した2013年には、多くの妊婦が風疹に感染し、先天性風疹症候群となった赤ちゃんがたくさん産まれ、問題となりました。

しかしその一方で、アメリカやカナダなどでは、先天性風疹症候群の赤ちゃんはゼロと言われています。同じ先進国である日本と欧米諸国では、一体なにが違うのでしょうか。

日本との大きな違いは、ワクチン接種にあります。アメリカやカナダでは、風疹ウイルスの予防接種が徹底されているため、風疹ウイルスが蔓延するリスクが低く、感染者も少ないため、先天性風疹症候群の発症がゼロとなっているのです。

しかし、日本では、予防接種を受けていない世代の人も多く、自分が抗体を持っているのかすら分からないと言った人も多いため、風疹が流行するリスクが高くなります。しかも、その症状は比較的軽く、中には症状が出ない人もいるため、自覚がないまま周囲にウイルスをまき散らしていることもあるのです。

つまり、風疹の感染拡大を止めるには、予防接種の徹底を促すことが必要なのです。

自分に抗体があるか分からないときは?

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先天性風疹症候群を予防するためには、ワクチン接種しか方法がありません。まず妊娠する前に、風疹ウイルスへの抗体があるかどうか、確認する必要があります。最も有効なのは、自分が産まれたときの母子手帳を親から見せてもらうことです。もし、ワクチン接種をしていれば、何らかの記録が残っているはずですよ。

一般的には、男女ともに学校などで風疹の予防接種を受ける機会があったと思いますが、下記の世代の人は、集団接種を実施していない時期に該当しますので、個別に病院で受けていなければ、抗体が無い可能性があります。

◆1962年4月~1979年4月生まれの男性
◆1979年4月~1987年10月生まれの男女

この時期に生まれた人は、風疹の抗体の有無を確認しましょう。特に男性は「妊娠に関係がない」と思っている人も多いのですが、夫が風疹に感染した場合、妊娠中の妻に感染してしまう恐れがあるので、男性も無関係ではないのです。

妊婦でも予防接種は打てるの?

Syringe Medical Vaccination · Free photo on Pixabay (117632)

妊娠前であれば、ワクチン接種をし、予防をすることが可能なのですが、既に妊娠が発覚した後に風疹ウイルスの抗体がないと分かった場合、どうすればよいのでしょうか。

風疹の予防接種は、「生ワクチン」という種類のもので、注射をして少量の風疹ウイルスを体内に入れることで抗体を作ります。そのため、ワクチン接種が原因で風疹を発症する可能性もあるため、残念ながら妊娠発覚後はワクチン接種をすることが出来ません。

では、もし風疹ワクチンを接種した後に妊娠が発覚した場合はどうなるのでしょうか?日本産科婦人科学会のこれまでのデータによると、ワクチン接種が原因で、胎児が先天性風疹症候群を発症した例は報告されていないため、おそらく問題ないと言われています。

どうしても不安な場合は、かかりつけ医に相談をし、羊水検査などを通じて胎児の細胞を調べることも出来ます。ただし、その場合は流産のリスクが伴うことも視野にいれ、よく相談してから決めるようにしましょう。

妊娠中の風疹感染の予防法

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妊娠が判明した後に、風疹ウイルスの抗体がないことがわかったとしても、予防接種をすることが出来ないのであれば、ウイルスに感染しないよう、最善の注意を払うことが重要となります。非常に強い感染力のある風疹。妊娠中、どのようにして予防すればよいのでしょうか。

①人混みは極力避ける

映画館やショッピングモール、繁華街など人の多い場所への外出は、極力避けるようにしましょう。風疹は、飛沫感染によって広がります。人混みに行けば、それだけ感染するリスクが高まりますので気を付けましょう。

もし、仕事や病院への通院などで外出する場合は、マスクを必ず着用するよう心がけてください。

②手洗い・うがいの徹底

風邪やインフルエンザ予防と同様、飛沫感染をする風疹にも、手洗いうがいを徹底することが重要です。外出先から帰ったら、必ず手洗いうがいをし、感染のリスクを少しでも低くしましょう。

③家族にもワクチン接種を依頼する

いくら妊婦さん本人が、感染予防を徹底していても、同居している他の家族が感染してしまったら意味がありません。

理想的なのは、妊娠を希望する際に、風疹の抗体の有無を夫婦で確認し、抗体が無い場合にはワクチン接種をしておくことです。既に妊娠が発覚した後で、他の家族に風疹の抗体が無いとわかった場合には、ワクチン接種を必ず受けてもらいましょう。

ワクチン接種に助成金が出る自治体もありますので、確認すると良いと思います。

もしも妊娠中に風疹に感染したら?治療法は?

Pill Capsule Medicine · Free image on Pixabay (117631)

いくら予防をしていても、2013年の日本のように、風疹が大流行してしまった場合、防ぎきれず、感染してしまうこともあるかもしれません。もし妊娠中に風疹に感染したらどうすればよいのでしょうか?

妊婦であっても、風疹の症状は特に変わりがなく、発熱やリンパの腫れ、発疹などが起こる程度です。そのため、症状が出てからの対処療法となります。胎児への影響が極力少ない薬を使用し、症状を和らげていく治療法です。

ただし、冒頭でもご紹介した通り、もし赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症していた場合の治療法はありませんので、出産後、赤ちゃんに出ている症状別に治療をしていきます。結局対処療法でしか治療ができないのであれば、やはり妊娠前に風疹ウイルスに対する抗体を持っておくことが、大切と言えそうですね。

まとめ

Child Within Baby · Free photo on Pixabay (117634)

いかがでしたか?妊婦さんが、風疹に感染すると大変危険であることがおわかりいただけたでしょうか。

私自身、恥ずかしながら、自分が妊娠するまでは「先天性風疹症候群」について全く知りませんでしたので、ワクチン接種の重要性を理解していませんでした。しかし、ちょうど私が妊娠した2013年に風疹が大流行したため、産院で抗体の有無についてや、家族のワクチン接種についての説明があり、知るきっかけとなりました。

ワクチンを接種するだけで防ぐことの出来る病気です。アメリカなどと同じように、日本ももっと多くの人に知ってもらうべきことだと私は思います。妊婦の家族だけでなく、全ての人がワクチンを接種することで、感染拡大を防ぐことが出来るのです。

1人1人がそういった知識を身につけることも大切ですね。また、妊娠を希望する夫婦は、不妊治療だけでなく、風疹の抗体検査もしておくと安心だと思います。風疹のワクチン接種は、2回必要です。子供の頃に1度打っただけでは、抗体が少なく、不十分であることもありますので、必ず2回接種したかどうかを確認しましょう。