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妊活を徹底解説!【その2】納得のいくクリニック選び、ポイント3つ!

妊活を徹底解説!【その2】納得のいくクリニック選び、ポイント3つ!

2016年11月13日 公開

不妊治療成功のカギはクリニック選びにあるといっても過言ではありません。とくに体外受精以降の高度生殖医療となると各クリニックの実力の差がでるところ。人工授精以降は保険適応外となり受ける治療によっては高額となります。婦人科のすべてが不妊治療に精通しているわけではありません。また設備の面でも不妊治療に対応しているわけではありません。体外受精の現実を知ったうえで、正しく医療機関を選んでほしいと思います。ここではそのポイントを高度生殖医療という点に絞ってお伝えします。

不妊治療のレベルはピンキリ!?

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日本で初めて、体外受精により赤ちゃんが誕生したのが1983年。それから30年以上が経ち、不妊治療は飛躍的な進歩をとげてきました。しかしこの分野は新しいため標準的な治療方法が確立されておらず、各医療機関によって提供する医療の質にばらつきがあります。不妊治療に携わるドクターは日々研究しながら、それぞれのやり方で不妊治療に取り組んでいます。日本全国で同じクオリティで不妊治療が受けられればよいのですが、実情は違うようです。

「不妊治療とは何をするのですか」と言われたらそれは「卵子と精子の出会いを助けること」になるでしょう。そのために卵管がつまっていないか調べたり、卵子と精子がうまく出会えるようタイミングをアドバイスしたり、排卵がうまくいくように促したり、人工授精で出会いを助けたりします。そして体内ではうまくいかない人のために「体外受精」があります。不妊治療に「自然ではない」というネガティブな印象を持っている方もいると思いますが、遺伝子操作をするわけではありません。それぞれの医療機関が「どんなふうに、どんな方法で卵子と精子の出会いを助けるか」を考え、治療を行っています。

不妊治療と一言で言っても、卵巣刺激の方法、採卵方法、胚移植の仕方はクリニックによって違いますし、培養や顕微授精にいたってはもっと大きな差があります。残された時間が短い世代では、早く結果を出せるよう、そして自分が納得できる治療ができるクリニックを選んでほしいと思います。

ポイント・その1『子宮卵管造影検査の設備があるかどうか』

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不妊治療を受けようと決心したら、そのクリニックが不妊治療を専門に行っているかどうか、そして子宮卵管造影検査ができる設備をもっているかどうかを確認しておくことが大切です。卵子の通り道が開いているかどうかを正確に調べることができるのは子宮卵管造影検査のみです。子宮卵管造影は子宮内部の異常と、卵管の通過性を調べるものです。子宮の内側の形や卵管と卵巣の癒着をも調べることができます。左右の卵管がもし閉塞していれば、通常の夫婦生活を送っていても、そして人工授精を行ったとしても妊娠しません。また子宮の中に壁が出来て子宮が二分されている双角子宮も(程度によりますが)妊娠が困難な場合があります。そういうことを診断するために子宮卵管造影は行われます。
 多くの婦人科やレディースクリニックではこの卵管造影検査ができないようです。卵管造影は不妊検査では必須ですから、この検査が行える施設かどうか事前に確認することがとても大切です。不妊治療の大きな特徴は、クリニックによって治療方針が全くバラバラということですが、どこで行うにしても不妊治療は女性にとって大きなストレスとなり、男性にとってもプレッシャーのかかる場合が多いことを心構えとして知っておくことも大切です。

ポイント・その2『体外受精の臨床件数』

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これはクリニックの治療成績です。ある程度数をこなさないと技術は磨けませんから、体外受精を多くやっているかどうかは「より高度な不妊治療をやっているかどうか」の目安になります。また体外受精において重要なのはラボのレベルです。なぜなら卵子にとって体外に出るということは、人類が宇宙に行くようなもの。全く無防備な状態の卵子を扱うわけですから、それが傷つかないよう徹底した管理がなされなければなりません。熟練した技術を持つ胚培養士(エンブリオロジスト)がいるかどうかもしっかり確認してください。

ポイント・その3『採卵あたり妊娠率』

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妊娠率はクリニックごとに公表していると思いますが、「移植あたりの妊娠率」なのか「採卵当たりの妊娠率」かによって、その意味するところは違ってきます。まず「移植あたりの妊娠率」ですが、これは文字通り『移植した受精卵がどのぐらい妊娠したか』という確率です。一般的に、移植できるほど成長した受精卵であれば妊娠する確率も高くなります。このデータにはそれ以前の状態、つまり採卵したものの卵が採れなかったり、未熟卵だったりしてその後治療が続けられなかったケースが反映されません。
 一方、「採卵あたりの妊娠率」は1回採取してできた受精卵を移植し、それが妊娠した確率です。「卵が採れたか」「採った卵がいくつあるのか」がポイントで、たくさん卵は採ったけど、移植できるまで育てることができないとなるとその確率は下がります。逆にこの率が高いということは、採卵した卵をしっかり培養できるということです。
 年間の採卵件数やその結果どれぐらいの人が妊娠にしたかという質問にきちんと誠実に答えられるクリニックなら安心です。

不妊治療におけるステップアップ

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 不妊の原因は①精子と卵子が出会えない、②受精卵となった卵、すなわち胚が着床できない、③卵子のエイジングの3つが挙げられます。そのうち不妊治療とは1番目の卵子と精子の出会いを助ける医療ということができます。

 不妊治療には「ステップアップ」という言葉があります。まずはタイミング法からスタートし、次に人工授精、それでも妊娠しなければ体外受精へと進んでいく一連の流れのことです。若いうちならばこのようにステップを踏んでもいいでしょう。「ステップアップ治療」とは一つの治療をおよそ半年行い、それで結果が出なければ次のステップに進むというものです。まずは基本検査をして排卵、卵管、精子に異常がないか調べます。排卵がうまくいっていない人や精子が少なめの人は少なからずみられますが、卵管が詰まっている人はごく一部です。つまりほとんど人は特別な異常がないということになります。異常がなかった場合はタイミング法を試し、それでも結果がでなければ人工授精に進みます。人工授精でも妊娠しなかった場合に体外受精へと進みますが、このように妊娠という結果が出なければ一つずつ治療を高度なものにしていきます。そのやり方や期間は医療機関によってさまざまです。患者さんの状態によっても期間や回数がかわってきます。

 人工授精の妊娠率は6~8%程度で、これは高齢になるほど下がります。某クリニックの例では、人工授精で妊娠が成立した人の9割は5回までで成功。人工授精での妊娠率は回を重ねる程幾分高くなるものの、5回以降は頭打ちの状態です。つまり人工授精で妊娠できる方であれば5回以内のトライアルで成功しているのです。35歳ぐらいまでなら5回、35~40歳ぐらいであれば2~3回、40歳前後なら1~2回、それでだめなら体外受精にステップアップするべきというドクターもいます。
年齢が40歳前後で「ゆっくり治療していられないわ」ということであれば、積極的に次の段階(体外受精)に進んでもいいかもしれません。「しばらく様子をみている」うちに卵子は年をとり、その数は少なくなってしまいますから。時間とともにどんどん妊娠しづらい体になっていくのです。大切なのはどのような治療をしたかというプロセスより「赤ちゃんを授かる」という結果です。

まとめ

不妊治療では様々な方法で卵子と精子の距離を縮めます。しかし体外受精ともなると一回あたりの費用が40万~60万円と高額なうえ、その妊娠率は22~23%。さらにここから流産率を差し引いた生産率は15%程度です。つまり、こんな高額な治療にエントリーしても子供を抱いて帰れる確率は7組に1組しかいないというのが現実です。

この現実を踏まえると、クリニック選びというのがいかに大切かお分かりかと思います。
ここを訪れた皆さんが情報に振り回されることなく自分に合った正しいクリニックを選ぶことを希望してやみません。

この記事は「間違いだらけの不妊治療 浅田義正 星雲社」「卵子を守る!妊活レッスン 放生勲 集英社」を参考に執筆しました。

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