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溶連菌感染症だけじゃない!溶連菌が原因の発疹と感染を予防する方法

溶連菌感染症だけじゃない!溶連菌が原因の発疹と感染を予防する方法

2017年1月16日 公開

溶連菌の影響は、意外と恐ろしかった!溶連菌といえば熱が出てのどが痛くなる感染症、とざっくりした症状ならわかりますが、他にどんな疾患を引き起こすことがあるのかは意外と知らないものですよね。今回はよく聞く「熱」「のど」以外の症状のほかにどんな病気にかかる可能性があるのか、溶連菌についてまとめました。

溶連菌とは溶血性レンサ球菌のこと

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溶連菌は、正しくは「A群溶血性レンサ球菌(A群β溶血性レンサ球菌)」といいます。

突然の発熱やのどの痛み、全身のだるさなどの症状が現れ、舌がイチゴのように赤くブツブツになる「イチゴ舌」や、かゆみのある赤くて細かい発疹などが起こることもあります。

風邪と違って咳や鼻水が出ないことも特徴のうちの一つです。

症状が治まりかけたころに、手足の発疹から指の皮がむけてきたりすることもあります。

溶連菌が原因の発疹は溶連菌感染症だけではない

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・蜂窩織炎(ほうかしきえん)

皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての化膿性感染症。広範囲に赤く腫れ、熱感と痛みを持つ。深い潰瘍ができることもある。

・丹毒(たんどく)

皮下組織よりも浅いところに起こる感染症。皮膚に赤い腫れが広がっていき、高熱や倦怠感もともなう。
溶連菌は猩紅熱と呼ばれる赤い発疹だけではなく、このような皮膚の病気を引き起こすこともあります。

実はとびひの原因菌でもある

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・伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)

「とびひ」と呼ばれる皮膚感染症。体に水泡ができ、かゆみをともなう。接触によって感染する。
感染性が高い皮膚症状として有名な「とびひ」ですが、溶連菌が原因で起こることがあります。
水ぶくれが出来やすいタイプはブドウ球菌、かさぶたがついて強い炎症が起こるのが溶連菌が原因です。
溶連菌によるとびひは、子供より大人に見られることが多いです。

溶連菌が原因の病気

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上記の皮膚感染症だけではなく、溶連菌が引き起こす病気はこんなにあります。

咽頭炎

咽頭とは喉の奥の部分で、口を開けた時奥のほうに壁のように見える部分です。
この部分の痛みが現れ、頭痛や高熱を伴うことがあります。
溶連菌以外にもアデノウイルスやコクサッキーウイルスなどのウイルス感染、インフルエンザなどの細菌感染、また刺激物を吸いこんだときなどにも発症することがあります。

扁桃炎

扁桃炎とは、先ほどの咽頭(一番奥に見える壁)の手前の両側に、開いた扉のように見える左右の部分が炎症を起こすことを言います。
咽頭炎同様、ほとんどがウイルスや菌による感染症です。
頭痛や高熱、倦怠感を伴うこともあります。
食事や唾液を呑み込む時に痛みを伴うため、栄養不足や脱水症状に注意が必要です。

中耳炎

中耳炎になると鼓膜の奥に菌が入り込み、膿がたまってしまいます。
とくにお子様の場合、耳の管が大人より短く菌が入り込みやすいため、鼻水がともなう感染症にかかると中耳炎になりやすいです。
中耳炎にかかると完治するまで3カ月くらい要することもあります。

副鼻腔炎

副鼻腔という、鼻の周りにある骨の空洞の粘膜に炎症が起こる病気です。
鼻づまりや頭痛や顔面痛がおこります。
急性の炎症は1~2週間で治りますが、慢性的になると慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)となり、手術を行うこともあります。

肺炎

肺に炎症を起こしてしまうと、せき・発熱・たんなどの風邪に似た症状が起こります。
症状は風邪に比べて重く、激しい咳や高熱、粘度の高い黄色や緑の痰が特徴です。
4日以上症状が続く場合は肺炎を疑い、医療機関に相談したほうがいいでしょう。
肺炎はレントゲンで簡単に診断できます。

菌血症・敗血症

菌血症とは血液に細菌が入り込む状態で、敗血症とは細菌による血液の感染症のことです。
歯磨きなどでできた傷からなど、細菌が血液に入り込むことは、一時的なことではよくあります。
腸から入り込むこともありますが、通常は血液が肝臓を通り過ぎる時に取り除かれるため、あまり心配はいりません。
細菌は普通は感染部位付近にとどまりますが、まれに血流に広がってしまうことがあります。

何らかの理由で敗血症になってしまった場合、抗生物質での治療が送れると、助かる可能性が低くなってしまいます。
敗血症は死亡することもある恐ろしい病気です。
悪寒や震えを伴う発熱や、発汗などが起こり、逆に重症になると血圧低下による低体温を起こします。

感染しやすい人の特徴

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溶連菌感染症は子供がかかりやすいイメージですが、抵抗力や体力が弱まっていれば大人もかかることがあります。
お年寄りの方や、妊婦さんは特に要注意です。
感染したお子様の看病をしていたママやパパがかかってしまうこともよくあるそうです。
大人と箸やスプーンを共有している子供がかかることもあるそうなので、虫歯菌感染予防のためにも食器の共有は控えるようにしましょう。

また、鼻が詰まっていたり、歯並びが悪かったりすると、口が半開きになっていることがあります。
普段から口が開いている人はかかりやすいことがあるため、注意が必要です。

インフルエンザとの併発に注意

高熱や喉の痛み、倦怠感など、インフルエンザと良く似た症状が起こる溶連菌感染症。
なんとなくのイメージで、感染症にかかっているときは他の感染症にかからない印象がありますが、溶連菌は「菌による感染」、インフルエンザは「ウイルスによる感染」であるため、併発が起こる可能性があります。

例えば、溶連菌感染症と診断され抗生物質を飲み症状が治まってきたところに、抵抗力が弱まっているところへインフルエンザウイルスに感染…というのもありえる話なのです。
感染者は他の人に移してしまうことを防止するのにも合わせて、さらなる感染症にかからないよう自衛する意味合いでも、必ずマスク等をして二次感染を防ぐようにしましょう。

感染経路と感染しやすい時期

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溶連菌の潜伏期間は2~5日間です。
感染経路としては、溶連菌にかかった人のくしゃみや咳などの飛まつ感染、手や食器などに付着した菌が口に入ってしまう経口感染があります。

感染しやすい時期は、春から夏にかけてと冬季で、その時期の集団行動の場(学校・幼稚園・保育園など)で大流行することがあります。

感染を予防する方法

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感染を予防するワクチン接種などは残念ながらありません。

予防する方法としては、風邪などのほかの感染症予防と似た感じになりますが、

・手洗いとうがい
・睡眠を充分にとる
・バランスの良い食事

という、基本的な予防方法になります。
お子様が属している学校や園で流行しているときや、お子様自身が感染しているときなど、大人もかからないように注意しましょう。
特にきょうだい間での感染は25%ほどあるとも言われています。
子供同士は密着して遊んだりすることも多いので、様子に注意してあげることが大切です。

また、飛まつ感染を防ぐためのマスクも効果的です。
人ごみに入るとき、家族内に感染者がいるときなどは、マスクの着用を心がけましょう。

溶連菌感染症は合併症に注意

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溶連菌感染症の恐ろしいところとして、感染後の合併症があります。

熱やのどなどの症状は、抗生物質を飲み始めると数日で解消します。
そこで薬を飲むことをやめてしまう人も多くいますが、菌自体は症状が改善しても体内に残っています。
リウマチ熱や急性腎炎、頸部リンパ節炎などを引き起こすことがありますので、処方された抗生物質は必ず飲み切るようにしましょう。

また、病院によりますが、後日(10日~2週間後くらい)に検査のため尿を提出することが多いです。
これは腎炎の発症がなかったかを調べるために必要なことなので、症状がなくなったし…と自己判断せず、きちんと再診を受けるようにしましょう。

異常が見られたらすぐに受診を

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溶連菌感染症は症状が劇的なため、異常があればすぐに医療機関にかかることが多いかと思います。
ですがまだお話できない赤ちゃんなどがかかった場合、熱があればすぐにわかりますが、「のどが痛い」など訴えることができません。
母乳やミルクを飲まない、離乳食を食べないなど、熱と併せて異変に気付いたらすぐに受診しましょう。

冬場などはインフルエンザも流行しているため、素人判断ではどんな病気にかかっているか分かりません。
異常に気付いたら、早めに内科や小児科を受診しましょう。

また、学校や幼稚園・保育園に通っているお子様は、溶連菌感染症になると登校・登園できません。
医師にかかり抗生物質を飲みはじめてから24時間後であれば登校できるので、やはり早めに受診した方がいいでしょう。

まとめ

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よく流行る感染症は身内や自分がかかっても、大したことなくすぐ治るだろうと油断してしまいがちです。
溶連菌感染症は、きちんとお医者さんにかかって処方された分の薬を飲みきらないと、合併症の危険性がある怖い病気です。
すぐ治るからと自己判断せずに、絶対にお医者さんの指示に従いましょう。

また、薬を嫌がるお子様にとって、10日間程度お薬を飲ませるのはなかなかハードですよね。
抗生物質の苦味はチョコ味でごまかせることが多いので、チョコレート味の服薬ゼリーなどを使って乗り切りましょう!