ikumama

Top
【高齢出産】第1弾◇4つのリスクと4つのメリット◇そのときに備えて知っておきたいこと

【高齢出産】第1弾◇4つのリスクと4つのメリット◇そのときに備えて知っておきたいこと

2017年7月17日 公開

昨今、晩婚化にともなって、高齢出産と呼ばれている妊娠出産があります。高齢出産にはリスクが伴いますが、そればかりではないのです。高齢出産だからこそのメリットもあります。そのときに備えて高齢出産のリスクとメリットを4つずつご紹介します。

高齢出産の定義って?

 (79616)

改めて確認しておきたいところ、それは高齢出産の定義です。まずはその部分から確認しておきましょう。

日本産婦人科学会では【35歳以上の初産婦】と定義されています。1993年よりも前は30歳以上が高齢出産とされていましたが、30歳以上の初産婦が増えてきたこともありWHOなど諸外国の定義にも習って1991年ごろに35歳に引き上げられました。

最近では初産婦か経産婦かという区別をしないで、年齢を注視して分類するという見方も強まっていて、35歳以上での出産を高齢出産とする向きもあるようです。

確かに、初産婦であっても経産婦であっても高齢出産の場合はリスクを伴うことも多いため年齢を注視するという見方も仕方がないことなのかもしれません。

高齢出産のリスクとメリット

 (79617)

高齢出産の定義を確認したところで、続いては気になるリスクとメリットのお話です。

近年の晩婚化に伴い、30代での出産はとても増えているというのが現状です。高齢出産に対する医療のサポート体制も整い、昔のようにママと赤ちゃんの命が危険にさらされるということは激減しています。
かといって、リスクが全くないということではないんですよね、残念ながら。だとしたら、リスクをしっかり理解し、受け入れて、そのリスクを管理していくことをしなくてはいけないのではないでしょうか。
必要以上に恐れることでもありません。しかし、リスクがある以上そのリスクに対する理解と覚悟も必要になるのではないでしょうか。

リスクだけではありません。高齢出産だからといっていいことがないわけではないんです。メリットもあるので、その点もしっかり感じていくことは大切なのではないでしょうか。

では、大きなリスク4つと大きなメリット4つをみていきましょう。

高齢出産のリスク①妊娠率の低下

 (79618)

卵子の数は生まれたときにすでに決まっていることをご存知のかたがどれくらいいるでしょうか。女の子はママのおなかの中にいるときに、一生分の卵子を作って生まれてくるのです。その後新しい卵子を作ることはないんですよね。
しかも、生まれる前に卵子は減少しはじめていて、個人差があることですが、原始卵胞は約100万個から200万個といわれています。それが全部なくなると閉経ということになるわけですね。

毎月何もしていなくても排卵が起こって、卵子は数百個ずつ減っていくといわれています。そして、年齢とともに卵子も年を重ねていくといわれ、卵子の質が低下していくとされています。

卵子の質が低下していくと、妊娠しずらくなってしまうといわれています。

高齢出産のリスク②ダウン症などの先天異常

Free illustration: Deoxyribonucleic Acid, Dns - Free Image on Pixabay - 1500068 (79620)

先天異常については、高齢出産でない場合でも、可能性がないというものではありません。ただ、高齢出産の場合にはリスクが高まるとされているというのは実際のところです。

とある調査によると、先天異常をもっている赤ちゃんを授かる確率は25歳~29歳では1.88%、35歳~39歳では2.02%、40歳以上では2.38%と、年齢を重ねるごとにその確率は高くなっていくようです。

高齢出産で起こり得る先天異常には何があるのか見ていきます。

ダウン症(21トリソミー)

染色体異常の症状では一番多い症状として知られています。1番目から22番目まで通常は2本ペアになっているのだそうですが、ダウン症の場合21番目が1本多いことが原因で起こる症状なのだそうです。

知的な発達の遅れや特徴的なお顔立ち(丸くて起伏がなく、吊り上がった目)で耳が小さいなどの特徴がみられます。聴覚や視覚の障害、心臓のトラブルなどの合併症を抱えている子も多いそうです。ただ、そのような合併症もなく育つ子もいて、個人差があるようですね。

エドワーズ症候群(18トリソミー)

ダウン症が21番目の染色体の異常で起きる症状だとしたら、エドワーズ症候群(18トリソミー)は18番目の染色体が1本多く3本あることで起こるとされている症状なのだそうです。

エドワーズ症候群(18トリソミー)の症状は妊娠中からで、胎児の胎動が弱く子宮内での発達が遅い、胎盤が小さく羊水が多いという症状があるのだそうです。
自然流産してしまうことが多く、無事に生まれてきたとして、治療をしなかった場合半数以上が1週間以内に亡くなってしまうのだそうです。また、1歳まで生きられる確率は10%に満たないのだそうです。

無事に生まれてきた赤ちゃんの外見的な特徴は、口元(顎)が小さく、頭も小さくて後頭部が突出しているという特徴があるのだそうです。
重い心臓疾患、無呼吸発作、食道の閉鎖などの合併症がみられるのだそうです。

パトー症候群(13トリソミー)

13トリソミーの名の通り、13番目の染色体が1本多いことで起きる症状のことです。発症率は10,000人に1人といわれています。13トリソミーの赤ちゃんが生まれる確率は先天異常の赤ちゃんの中で一番少ないものとされているそうです。
特徴には、口唇口蓋裂や頭が小さい、頭皮の一部が裂けている、指が多い、鼻が小さいなどの特徴があるのだそうです。

自然流産してしまう確率は、18トリソミーよりも大きいとされ、99%が流産か死産であるとされているのだそうです。妊娠初期の流産の2.6%は13トリソミーだという報告もあるようです。
※トリソミーとは
染色体は23組46本で構成されています。2本で一組ということになります。1組の染色体の1本多いものをトリソミーというのだそうです。
逆に1本少ないものをモノソミーというのだそうです。
Free illustration: Dna, Deoxyribonucleic Acid, Dns - Free Image on Pixabay - 1500076 (79621)

ターナー症候群

ターナー症候群は、女の子に起こる症状です。本来、人の染色体は23組46本ありそのうちの1組は性染色体といって性別を決めるものです。女の子だとXXの2本、男の子だとXYの2本となります。
女の子の性染色体の1本または一部が欠けていることで起こるのがターナー症候群なのだそうです。
1,000人~2,000人に1人の割合で発症するとされています。

特徴としては、身長が低い・二次性徴がない・手足の甲のむくみ・首から肩にかけての皮膚が大きい・耳の形の変形などがあるのだそうです。
合併症としては、中耳炎・難聴・骨粗しょう症・高血圧・糖尿病・心疾患などが挙げられています。

生まれてくる前に、流産してしまうということも多いのだそうです。

クラインフェルター症候群

クラインフェルター症候群は男の子に起こる症状です。男の子は性染色体がXYの2本であることターナー症候群をご紹介した際に書きました。クラインフェルター症候群の場合、性染色体のXが1本多くXXYとなっていることが原因で起こるとされています。XXXYなどXがひとつ以上多くなる場合もあるそうです。

クラインフェルター症候群の大きな特徴のひとつが、精巣が未発達で小さく硬いという特徴です。このことで男性ホルモンが欠乏してしまうために起こる特徴があわわれるのだそうです。
身長が高く脚が長い・体が細い・乳房がふくらみを持つ・体毛が少ない・不妊症・筋肉や骨密度の低下があげられています。

精神障害や発達障害がみられることもあるそうです。X染色体が増えるごとにIQが下がるという推測もあるようですが、必ずしも知的能力が低くなるということではないようです。

発症頻度は500人に1人とされていますが、社会生活を送るうえで支障がないことから過半数が診断を受けていないのではないかとされています。

高齢出産のリスク③妊娠中の疾患

 (79622)

妊娠中の疾患といえば、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病があげられます。中でも注意したいのが妊娠高血圧症候群です。
妊娠高血圧症候群は、高血圧・たんぱく尿・むくみがあらわれるのが大きな特徴です。妊娠中に高血圧となる可能性は20代に比べると1.8倍とされています。
妊婦全体では10%が発症するとされていますが、35歳以上の場合だと14%~18%と発症率が高くなるともいわれています。

加齢によって卵巣や血管も老化していくため、高齢になるほどその発症の可能性は高くなるといわれています。

高齢出産のリスク④流産・早産・難産の確率が上がる

Free photo: Hospital, Labor, Delivery, Mom - Free Image on Pixabay - 840135 (79623)

すべての妊娠の自然流産の確率は10%~15%といわれていますが、高齢出産といわれる35歳以上20%と上昇してしまうといわれています。
ここまでご紹介してきた加齢による卵子の質の低下や先天異常が主な原因とされているようです。
100%予防できるものではなく、10人に1人が経験するといわれています。

妊娠高血圧症候群や前置胎盤、常位胎盤早期剝離などの原因で早産のリスクも高まるのだといわれています。

出産に関しても、高齢出産の場合【軟産道強靭】といって産道やその周辺がやわらかくなりにくく、お産が長時間になっても赤ちゃんが下りてこられないということもあります。
微弱陣痛のままお産が長引いてしまって、赤ちゃんとママの状態によっては帝王切開に切り替えられるということもあるようです。

個人差のあることです。必ずしもそのようなことが起こるということはないですから、神経質になりすぎないようにしましょう。

続いてはメリットについてみていきましょう。

高齢出産のメリット①心の安定

 (79624)

35歳以上とされる高齢出産の場合、女性の精神的な安定が大きなメリットになります。たくさんの人生経験を積み、出産に臨むことになるため、心に余裕がある状態にあるというのはいいですよね。
出産や育児に自信がないと答えるのは20代前半のママさんたちに多いという調査もあるようです。

とはいえ、心(精神的)安定は年齢や経験にかかわらず個人差もあることですので、高齢出産といわれる年齢だから出産や育児に自信がないことが悪いことではありません。

出産までに培ってきた人生経験はきっと、妊娠・出産・育児の助けになることでしょう。

高齢出産のメリット②金銭的な安定

 (79625)

日本では年齢が上がるほど生活に余裕が出てくれといわれ、高齢出産といわれる年齢になると、経済的な余裕が出てくるころといわれます。

出産、育児に体力も必要ですが、やはりお金はかかります。経済的な余裕があれば出産や育児も心配がないですよね。万が一、育児サービス(シッターなど)を利用する際も経済的な余裕があることで安心して利用することができます。
これは大きなメリットとなるでしょう。

高齢出産のメリット③子宮体がんのリスク低下

 (79626)

妊娠出産をすることで子宮体がんのリスクが減少するといわれています。明確な理由はわかっていないようですが、アメリカの予防医学研究チームが行ったとされる調査によると、25歳よりも以前に出産した場合に比べて30代から40代で出産した場合では17%子宮がんのリスクが減少したのだそうです。
35歳から39歳で出産した場合は32%リスクが減少し、40歳以上の場合は44%リスクが減少したという結果も得られているようです。

妊娠中に分泌されるたくさんの女性ホルモンの影響は健康上とてもいい効果をはっきしてくれるようです。

高齢出産のメリット④若返り効果も!?

 (79627)

加齢によって分泌が弱くなっていく女性ホルモンが、妊娠することによって活発に分泌されるようになります。
お肌の調子がよくなったり、手足の冷えが改善したりと若返りとも思われる減少が現れるといわれています。

出産後も、赤ちゃんのお世話・大きくなって運動量が多くなったこどものお世話で体力もついてきます。そして、こどものためにも若くありたいと気を付けるということもあり、アンチエイジングの意識も大きくなるようです。

まとめ

Free photo: Pregnant Woman, Pregnancy, Pregnant - Free Image on Pixabay - 1910302 (79628)

高齢出産のリスク・メリットともにご紹介してきましたが、いかがでしょうか。

高齢出産には多くのリスクを伴います。産後も大変なことが多いかもしれません。しかし、悪いことばかりではないのだとわたしは思います。
基礎的な知識を吸収し、理解して、覚悟して、そのときを迎えるというのはとてもいいことではないかと思うのです。

この記事がその一助となったらしあわせです。