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【高齢出産】第3弾◇出生前診断って?種類や費用は?知っておきたいアレコレご紹介します

【高齢出産】第3弾◇出生前診断って?種類や費用は?知っておきたいアレコレご紹介します

2017年7月27日 公開

高齢出産の話では避けて通れないことのひとつが【出生前診断】ではないでしょうか。高齢出産の場合、出生前診断受けるか否か決めなければならないときがあります。そのためには情報が必要ですよね。種類や費用など知っておきたいアレコレご紹介します。

高齢出産と出生前診断

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これまでに高齢出産について第1弾・第2弾とご紹介してきました。どうしても切り離せない話題が【出生前診断】ではないでしょうか。

メディアで取り上げられることも多いですし、わたしが次男を出産する際に医師から『出生前診断についてどのように考えていますか?』と問われました。
次男を妊娠したのが36歳で、出産したのは37歳でした。『ご主人としっかり話し合って決めて下さい。』と言われた健診の日を今でもはっきり覚えています。
【出生前診断】というのは聞いたことがあったけれど、知識としてほとんど持ち合わせていなかったので戸惑った経験があります。

その経験から、高齢出産についての記事の最後に【出生前診断】についてご紹介していきたいと思います。

出生前診断ってどんなもの?

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【出生前診断】とは、【赤ちゃんが生まれる前に、染色体異常や先天的な病気、奇形がないか調べる検査】のことを総称しています。

妊婦健診でも、ママのカラダのことに加えて赤ちゃんの状態を検査しますがそれとは別の検査ということになります。

妊婦健診でなんらかの異常が見られた場合やパパやママの家系で遺伝的な病気がある場合に、パパママからの希望があるときに詳しく検査が行われます。それが【出生前診断】ですね。

では、出生前診断にはどんな検査があるのか見ていきましょう。

出生前診断の種類と受ける時期①胎児超音波スクリーニング検査(NT超音波検査)

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超音波診断装置(エコーと知られています)を使って、おなかの中の赤ちゃんの発育状態や羊水の量を測ることに加えて、赤ちゃんのカラダに形態的な異常があるかを見る検査です。

一部の先天異常(口唇裂・二分脊椎・無脳症・水頭症など)は、この検査で見つけることが可能とされています。頸部のむくみを見ることでダウン症の可能性も発見できるとされています。

その他の出生前診断よりも手軽に受けられることから、産院によっては妊婦健診のスケジュールに組み込まれている場合もあります。

これを書いているわたしが次男を妊娠中に健診でかかっていた総合病院では胎児エコーの名でいつものエコー検査とは別に、検査技師の方に見ていただくものが組み込まれていました。
そのため、胎児超音波スクリーニングと認識していませんでしたが、今思えばそれであったとわかります。

この検査を受ける時期は、妊娠中期~後期とされているようです。産院によって指定される時期や回数が違うようです。妊娠16週~30週あたりで受けることが多いようですね。
わたしが受けたのは妊娠20週目と29週目の2回でした。

出生前診断の種類と受ける時期②母体血清マーカーテスト

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ママの血液を採取し、赤ちゃんに染色体異常がないか調べる検査です。この検査は確定診断するものではありません。染色体異常を発症している確率を推定するものです。
この母体血清マーカーで染色体異常を発症している確率が推定されるというだけでは確定できないため、確定診断のための羊水検査や絨毛検査をする必要があります。

染色体異常の発症が推定できるものとしては、ダウン症(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・二分脊椎・無脳症があげられます。

この検査は妊娠15週~21週まで受けることができるそうですが、この検査を受けた後確定診断のための検査を受ける可能性を考慮して妊娠17週までに受けるとされているようです。

出生前診断の種類と受ける時期③羊水検査

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ママのおなかに直接針を刺し、羊水を採取して、羊水の中に含まれている赤ちゃんの細胞を調べます。この検査では染色体異常や代謝異常の確率の高さがわかります。

この検査ではダウン症(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・ぱとー症候群(13トリソミー)などの染色体異常がわかるとされています。
また、二分脊椎・無脳症の可能性がわかるのだそうです。

羊水検査を受けられる時期は妊娠15週~17週とされています。

出生前診断の種類と受ける時期④絨毛検査

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子宮頸部に管を挿入するか、ママのおなかに直接針を刺して絨毛を採取します。採取した赤ちゃんの細胞から染色体異常がないか検査します。
絨毛とは、ママと赤ちゃんをつなぐ胎盤の一部です。ママの子宮と胎盤をつないで、酸素や栄養をやり取りするそうです。絨毛の検査はこの部分を採取するということになりますね。
おなかに直接針を刺す場合も、羊水の検査よりは浅く済むようです。

一般的には妊娠10週~12週のころにうけられるのだそうです。絨毛の位置を超音波で確認しながらということですので、位置によっては日を改めての検査となることもあるようです。
※※出生前診断の種類で出てきたダウン症(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)などの先天異常(染色体異常)については第1弾でご紹介していますので参考にしてみてください。

新型出生前診断(NIPT)ってなに?

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新型出生前診断というのは耳にすることがあるのではないでしょうか。正式には無侵襲的出生前遺伝学的検査(むしんしゅうてきしゅっしょうぜんいでんがくてきけんさ)といいます。ママの血液を採取して、染色体異常がないか調べる検査です。

ママの血液の中の赤ちゃん由来の遺伝子の中で、13番目・18番目・21番目の染色体濃度を調べることでパトー症候群(13トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・ダウン症(21トリソミー)の可能性がわかるのだそうです。

採取するママの血液はわずか20㏄なので、ママへの負担は軽いものになります。検査の精度としては、陰性の的中率が99.9%と高く、この検査で陰性といわれた場合は13・18・21の染色体異常の可能性はほぼないとされるほどです。
陽性の的中率は80%~90%と高い確率にまで精度が高くなっているのだそうです。

この新出生前診断は妊娠10週~18週のころに受けることになるようです。

新出生前診断を受ける条件

*出産予定日の時点で35歳以上となる妊婦
*妊婦さんか父親となる人に染色体異常がある場合
*新出生前診断でわかる染色体異常3つに当てはまる子を出産経験がある場合

出生前診断の費用

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出生前診断の種類などわかったら、気になるのが費用面ですよね。出生前診断を受けるか決めるための重要なポイントのひとつにもなるでしょう。

胎児超音波スクリーニング検査(NT超音波検査)の費用

平均すると10,000円~20,000円とされているようです。

次男(現在1歳3ヶ月)妊娠中のわたしの経験では、受けた2回とも妊婦健診の補助券で清算ができたので、支払い自己負担は2,000円程度でした。
自治体によって妊婦健診の補助券が適用になるかどうかも違ってくると考えられますし、検査をする病院ごとに費用は変わるでしょうから、事前の確認は必要になるでしょう。

母体血清マーカーテストの費用

こちらも10,000円~20,000円くらいとそれほど高価なものではないようです。

検査を受ける病院ごとに費用が変わる可能性があります。受けることを考えているときは事前確認しおくといいですね。

羊水検査の費用

この検査の相場は120,000円~150,000円くらいとされています。すべて自己負担です。

確定診断のための検査ということもあるのか、いきなり0の数が増えます。羊水検査にたどり着くまでに、超音波検査や母体血清マーカー、新出生前診断を受けている可能性が高いので、その費用をあわせるともっと高額になりますね。

こちらも、検査を受ける病院によって費用が変わってくるので確認が必要なところです。
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絨毛検査の費用

この検査も受ける病院によって違いがありますが、100,000円~200,000円が相場です。そしてすべてが自己負担です。
羊水検査同様に、この検査の前に他の出生前診断(非確定診断)を受けている可能性が高いので、すべてあわせると高額となる場合が多いようです。

新型出生前診断の費用

他の検査と同じく、検査を受ける病院によって違いがあるでしょうが、200,000円前後というのが相場とされています。こちらもすべて自己負担です。

羊水検査や絨毛検査の前に受けることが多いため、すべてをあわせると、300,000円~400,000円かかるということになりますね。

出生前診断のメリット

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出生前診断を受けることのメリットをいくつか考えてみます。前提として、妊娠を継続した場合として考えます。

*事前の心の準備ができる
*先天異常や疾患について情報を集め学ぶことができる
*必要となるであろう資金面について考えることができる
*先天異常や疾患のある赤ちゃんの受け入れをする環境づくりができる
*稀な事例として、事前に先天異常や疾患がわかると胎内にいる間に治療ができるケースがある

この5つの点が考えられるでしょうか。出産してわかった場合よりは、多くの情報を取り入れて学んでから赤ちゃんを向かい入れることができるという点は大きなメリットになるでしょう。

出生前診断のリスクと問題点

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出生前診断を受けるにあたって知っておかなければならないことに、リスクや問題点もあげられるます。そのことについてもしっかり把握して決断のための要素にすることも重要でしょう。

出生前診断のリスク

超音波検査や母体血清マーカー・新出生前診断は超音波を当てることと採血するということなので、リスクはほとんど考えなくてもいいでしょう。リスクについて知っておかなければならないのは、羊水検査と絨毛検査です。

羊水検査・絨毛検査はママのカラダに直接影響のある検査です。流産の危険性がないと断言されていないのが現状です。確率的には0.3%といわれていますが、これを低いと考えるか高いと考えるかですね。
これを書いているわたしが、羊水検査や絨毛検査について話を聞いた産婦人科医からは『自然流産の確率と変わらないと考えていい』と話していました。

また、検査後に出血したり、下腹部に痛みが起こったりする場合もあるようです。感染症の危険もあることですので気になることがあるときは、迷わず医師に相談しましょう。
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出生前診断の問題点

出生前診断でわかることは、ごく一部です。赤ちゃんが持ってるすべての異常や疾患がわかるわけではないということは理解しておかなければなりません。
21トリソミー(ダウン症)・18トリソミー・13トリソミー・二分脊椎や心疾患・骨格・脳神経と数えるほどしかわからないということです。その他の障がいや疾患は生まれてみないとわからないのです。
出生前診断で異常がなかったからといって、生まれた赤ちゃんが正常とは限らないことを十分に理解しておく必要があります。

また、確定診断とされる羊水検査・絨毛検査も100%の確率で正確に診断できると断言されていないのが現状です。0.1%~0.6%の確率で診断を誤る可能性があるのです。1000人に1人~6人に診断の誤りが発生する可能性があるということです。そのことも、理解しておく必要があるでしょう。

出生前診断と中絶について

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母体保護法によって定められている中絶の条件は

*妊娠の継続・出産が身体的または経済的理由で母体の健康を著しく害する恐れがあるとき
*性的暴行によって妊娠したとき

この2つです。この2つのどちらかの理由で【原則妊娠21週まで】と定められています。

出生前診断で障がいがみつかったとしたら中絶できる・・という風に考えている方が多いかもしれません。その考え方は【選択的人工妊娠中絶】と呼ばれ、実際に行われているとされています。
ひとつ目の条件の解釈を【先天異常や疾患のある子が生まれると、経済的負担に加え、母体への負担が増える】という解釈にして行われているというのが実際のところのようです。

この問題は、すごく難しい問題ですよね。なにが正しいのか、正しくないのか・・と考えてしまいます。どんな選択をするにしてもママとパパにとって【わが子の命】について考えなくてはならない重い問題です。

ママとパパ、本当にしっかり向き合って話をしなければならないですし、出生前診断を受けることを決める前に診断後のことも決断しておくことが必要かもしれません。

まとめ

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高齢出産と切り離せない話題だと考え、出生前診断ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。

これを書いているわたしも、出生前診断を受けるか受けないのかという決断を迫られた経験があります。
結論は『受けない』でした。夫から『検査して何かわかったとして、おなかの子とバイバイできるか?』という質問をされ、わたしの答えは『できない』でした。
夫は『じゃあ、受ける必要がないよね。どんな子でもわが家に来てくれた子ならどんな子でも全力で育てるしかない』といってくれました。

わが家のような決断をするご夫婦もあるでしょう。出生前診断を受ける決断をし、妊娠継続についての決断をすることになるご夫婦もあるでしょう。

正解はあってないようなもので、それぞれのご夫婦の決断がそれぞれのご夫婦の正解なのだと思います。

その決断のための情報のひとつに、この記事がなればいいなと思います。